家業の機内食製造会社での現場経験から安全管理業務効率化システムを開発「カミナシ」

カミナシ(東京都千代田区、諸岡裕人・代表取締役CEO)は、現場担当者の報告業務負荷低減と情報処理効率化を実現する現場DXシステム「カミナシ」が高評価を集めている。

同システムは、現場目線で設計されたユーザビリティの高さが特長の一つ。多言語に対応しているので、外国人研修生でもスムーズに扱える。現在、食品加工製造業、飲食チェーンを中心に約300社(7千現場)で採用されており、セブン―イレブンの弁当・惣菜を製造するメーカー各社の139工場も3月から導入した。

月間のミス発見数が98.3%減少。作業時間も97.5%削減

HACCP対応に必要な報告業務の大半は、現在も現場担当者の手書きによる報告書作成が主流。複数工場を展開する企業の本部担当者でも、送られてきた紙媒体をもとに手打ち入力し報告書を作成するケースが少なくないという。しかし、カミナシが実施した調査では、導入企業において月間のミス発見数が98.3%減少。報告書類等の作成・確認・認証作業に要する時間は97.5%削減されたようだ。

「カミナシ」はモバイル・タブレットにシステムインストールでき、点検用途に応じ項目内容も自由に追加編集できるのも強み。作業後設備の清掃・点検完了など報告業務の際には、モバイル端末で現場写真を撮影し、アプリ内の確認項目をチェック。注意点や問題点がある場合は、都度画面上に分かりやすく表示される。アプリから送信された情報は全て本部担当者がリアルタイムで確認できる。

ガラケーユーザーでも簡単に操作可能

競合するサービスは国内外にあるが、「カミナシ」は家業の機内食製造業を通じ、諸岡社長が得た現場感覚をシステム開発の原点とし、使い勝手の良さを優先した。現場感覚をシステムに落とし込むために、開発までの三年間で300以上の生産ラインを実見した。

同社では「誰でも抵抗感なく使用できるようインターフェース設計した。60歳代以上のガラケーユーザーでも簡単に操作できるので、競合がないと言い切れるほど完成度が高い製品」(同社広報・宮地正恵氏)としている。

現在、食品関連で導入している企業は、わらべや日洋、フジフーズ、ロイヤル、オイシス、群馬ミート、吉清グループ、ロイヤルフードサービス、VANSAN、キンレイなど。ルートインジャパン、ジェイアール東海バスでも採用されており、ホテルの客室点検、バスやトラックなどの車両点検など多用途でのニーズが見込まれる。同社では2025年までに1千社導入を目指すほか、新たにHRサービス(人材管理)システムのリリースを予定している。