永野芽郁さんの動画を活用 低迷するブレンド茶飲料市場に逆張 サントリー「伊右衛門」から

サントリー食品インターナショナルは低迷するブレンド飲料市場に逆張りする。

4月11日、「伊右衛門」ブランドから「伊右衛門 澄みきるブレンド茶」を新発売した。

ブレンド茶飲料市場は近年、ダウントレンドにあり、全国清涼飲料連合会の「2022年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、ブレンド茶飲料は生産量が前年比8%減の56万100kl、生産者販売金額が0.4%減の874億9800万円。

低迷する市場に新商品を投入する理由について、三宅克幸SBFジャパンブランド開発事業部課長は「あえての逆張りのようなもの」と述べる。

低迷理由をメーカーの努力不足と捉える。

「ダウントレンドなのは、お客様がブレンド茶飲料に価値を求めていないためか、もしくは、お客様が期待される価値にアップデートできていないためかのどちらか。我々は後者にあると判断してチャレンジしていく」。

「澄みきるブレンド茶」は“忙しい現代の人々を整える”ことをテーマに原材料を厳選。はと麦・炒り米・大麦・緑茶・ルイボスという5つの素材に加えてイヌリンをブレンドし、複層的な香りがありながら後味はすっきり心地よい、澄みきった味わいに仕立てた。

カフェインレス飲料が拡大している中で、同商品ではおいしさを重視し、若干のカフェインを是として低カフェイン設計にした。

「カフェインレスのアプローチでは、ゴクゴク飲める麦茶飲料に流出しており、当社も『GREEN DA・KA・RA』ブランドでカフェインレス需要を取り込んでいる。そのためブレンド茶飲料では割り切って、低カフェイン設計とした。緑茶を少し加えることで全体の味わいがすごく締まるようになった」という。

ブレンド茶飲料そのものについては「健康によい素材がいろいろと混ざっているのがお客様のイメージされる価値」との見方を示す。

その点、5つの素材に加えたイヌリンについては「ブレンド茶飲料には、サイエンスの考え方を入れて複数の素材を組み合わせて体のコンディションを整えるイメージがあり、お腹の調子を整えるとされるイヌリンを加えた」と説明する。

コミュニケーション施策としては、永野芽郁さんを起用した動画コンテンツを活用して訴求している。

左から「伊右衛門 澄みきるブレンド茶」と「伊右衛門 京都ブレンド」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から「伊右衛門 澄みきるブレンド茶」と「伊右衛門 京都ブレンド」

一方、既存の「伊右衛門 京都ブレンド」は、煎茶・京番茶・和紅茶の3種類の茶葉をブレンドした中味設計だが、同社ではブレンド茶と位置付けてはいない。

「ブレンド茶飲料は体によい素材が複数入っているものであるの対し『京都ブレンド』は複数の素材が重なることで生まれた一つの新しい味わいとなり、全く異なるカテゴリーとみている」と述べる。

「京都ブレンド」は「一定のお客様にしっかり愛されている商品にはなっており、毎年ブラッシュアップを重ねながらしっかり市場定着を図っていく」との考えのもと、リニューアルを行い3月28日から発売している。

中味は、ベース素材の煎茶の配合比率と火入れ条件を調整し、新たな嗜好を捉えながらもクリアで明るい水色(すいしょく)に進化させた。

パッケージはその水色をよりアピールすべく、600mlでは「伊右衛門」本体(緑茶)と同様のボトルを採用している。