森永乳業 生産者と消費者つなぐ新事業 こだわりの乳製品を代行販売

森永乳業は、酪農家が加工・販売するヨーグルトやチーズなどを移動販売車で販売代行する新規事業「酪農マルシェ みるくのえん」を立ち上げた。初回の取り組みとして、5月24~30日にかけて都内6か所で9軒の酪農家が加工した乳製品約32品を販売した。

事業の考案者で経営企画部非連続的成長推進室新規事業推進責任者の鴨志田真弓氏は、「酪農家と乳業メーカーが一緒に酪農の未来を作っていくことがコンセプト。酪農家と乳業メーカーの交流は、ここ10年まったくといっていいほどなくなり、それぞれの気持ちの疎通が取れない点で課題を感じていた」など新事業設立の背景を語る。

鴨志田氏(左から4人目)と参加した酪農家ら - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
鴨志田氏(左から4人目)と参加した酪農家ら
移動販売については「加工商品を扱う酪農家に、乳業メーカーとして売り方や味づくりのノウハウを共有することで、乳業界をより魅力的に伝えることができると考えた」(同氏)ことから、事業の第一歩として取り組む。製品とともに、森永乳業の担当者らが作成したPOPや、牧場による風味の違いを視覚化する「味マッピング」などを通して消費者に楽しみ方を提案する。次の出店は7月中を予定している。

初日の24日は、LaLaテラス南千住(荒川区)にて実施した。販売を委託した酪農家からは、「10年前からチーズやジェラートを作っているが、ここ最近は酪農危機をとても強く感じる。加工でなんとか酪農を盛り上げなくてはと考えていたときに声をかけてもらった。質のいい国産チーズを見ていただく機会を作ってもらえてうれしい」「輸入乳製品が多く入ってきているが、国産の乳製品は非常に素晴らしいものが揃っている。今回は加工部門のある牧場が対象だが、酪農仲間からの応援の声や思いも受け取ってきた」といった声が聞かれた。

なお、移動販売は三井不動産グループのShare Tomorrow(中央区)が21年から展開する移動商業プラットフォーム「&MIKKE!!」を活用したもので、同社が販売車両の提供などのサポートを行っていく。

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