ウェルネオシュガー 来年10月、グループ完全統合へ 機能性・バイオの成長促進

精糖大手のウェルネオシュガーは、6月1日の記者説明会で今後のグループ経営方針を発表した。国内砂糖事業は、来年10月に予定する日新製糖・伊藤忠製糖との統合を起点として経営効率を追求。収益性の向上や基盤強化を図るとともに、砂糖事業で創出されたキャッシュ・人材を成長分野と位置付けるFood & Wellness(F&W・健康と食)事業に積極的に配分。今後、砂糖事業とF&W事業の両軸で事業ポートフォリオの拡充を図る。

27年度には、営業利益95億円、連結純利益70億円、ROE8%を目指す。砂糖事業の営業利益は70億円(23年度40億円)、F&W事業は20億円(同7億円)に引き上げる。記者説明会で山本貢司社長は「経営方針の全ての起点となるのが、来年10月に予定する日新製糖・伊藤忠製糖との完全経営統合。砂糖事業の効率性を高め、合理化・生産性の改善により成長投資に必要なキャッシュと人材を創出する。やる気ある人材は、F&W事業やデジタル、サステナブルなど戦略部門にどんどん投入したい」と意欲を示した。

グループの生産拠点は、日新製糖は大阪・千葉、伊藤忠製糖は愛知・宮崎の計4工場だが、うち3工場は自社工場。「自社工場では、柔軟かつ機動的に生産品目・数量を変更できる。また、日新製糖は東北・関東・関西を中心に家庭向けが強く、伊藤忠製糖は中部・九州を中心に業務用が強いといったすみ分けができている点は大きな強みだ。今後、4工場でベストな生産体制を構築したい」としており、3社の経営統合により早期の統合シナジーが期待される。

F&W事業は、オリゴ糖やケストース、サイクロデキストランといったグループの多様な機能性素材や研究開発の知見を最大限活用。将来の成長分野として積極的な成長投資を推進する。社長直轄組織として「ネオ機能性素材部」を新設。研究開発機能を強化するとともに営業・マーケティング機能を配下に置き、機能性素材のマーケティング強化を図る方針だ。「マーケットイン型事業展開で、糖を核に食と健康のトップリーダーを目指す」と抱負を述べた。