コカ・コーラボトラーズジャパンは4月、海老名工場(神奈川県海老名市)に飲料の最新鋭製造ラインを導入して「綾鷹カフェ」や「コスタコーヒー」といったミルクなどの風味のよさを特長とした付加価値商品の供給能力を拡大させた。
最新鋭製造ラインの導入は、広島工場、京都工場に次ぐ3工場目。関東エリアの工場では初となる。
これにより、前述の付加価値商品を東日本エリアで展開する際には、京都工場からの長距離輸送と在庫を削減し、競争力を高めるとともにコスト低減を見込む。
最新鋭製造ラインの一番のポイントは、二液充填と呼ばれるコカ・コーラ独自の製造法にある。
例えば「コスタコーヒー」のラテ系商品の場合、コーヒーの抽出液とそれ以外のミルクなど液体を別々に殺菌する。その二液は、アセプティックタンク(無菌タンク)での調合を経て充填機でボトリングされる。
飲料の製造プロセスには充填前に原料の殺菌工程があり、殺菌(加熱)は味わいに影響を与える。
一般的なラテ飲料では、コーヒーとミルクを攪拌した状態で殺菌を行うのに対し、ここでは味わいへの悪影響を最小限に抑えるべく、各素材の性質にあわせてそれぞれ適温で殺菌している。
5月29日取材に応じた海老名工場の鳩貝敦之工場長は「一番分かりやすいのが『綾鷹カフェ 抹茶ラテ』で粉乳を同時に入れて殺菌できる。今の飲料業界の最新技術だと思っている」と胸を張る。
中味の特徴については、増田亮工場製造部部長が「別々に殺菌することで、風味などがさらに良くなる」と語る。
最新鋭製造ラインは、海老名工場では、ボトル缶商品を製造していた5号ラインを改装してつくられた無菌充填ライン(5号ライン)となる。
二液充填の実現のため、5号ライン専用に原料・調合タンク8機とチューブ型の超高温瞬間殺菌(UHT)機を2機兼ね備えている。
この2機の殺菌機が二液充填の肝となる。「まさに新技術で、このタイプを採用したのは海老名工場でも5号ラインだけとなる」(鳩貝工場長)という。
5号ラインの充填能力は900bpm(1分間に900本)。
190m・280m・440ml・500mlのペットボトルの容量帯に対応して「ジョージア」「コスタコーヒー」「綾鷹カフェ」を主に製造している。
コカ・コーラボトラーズジャパンの主要工場では、900bpmの高速充填スピードにあわせて、充填後のラベリングは2台のラベラーで対応している。
「ラベラーのような精密な精度を求められる機械は1台で900bpmを上回るものは技術的に実現できておらず、450bpmの能力を有する2台のラベラーで二手に分けてラベリングを行い1本のベルトコンベアに合流させている」と説明する。
海老名工場のそのほかの取り組みとしては今年、スパイラルコンベアを新たに導入し省スペース化を図った。
コカ・コーラボトラーズジャパンは、日本のコカ・コーラシステム21工場のうち17工場を有し総製造ライン数は64ラインに上る。
このうち海老名工場は17工場の中で3番目に生産量の高い工場となる。
64種類の商品を製造し、その内訳は茶系飲料6割弱、炭酸飲料2割弱、コーヒー約1割、その他約1割となっている。
「(アフターコロナに向かって)新製品の開発・導入はさらに加速するのではないかとみている。それに応じた生産体制をしっかり整えて、より新しいものを提供していけるように努めたい」と意欲をのぞかせる。