先月下旬に開催された「オーストラリアナッツフォーラム」では、来日した生産者団体や輸出企業が同国産ナッツの特徴や生産状況などの最新情報を紹介。今後の展望について説明した。
主催したオーストラリア大使館のエリザベス・コックス商務担当官によれば、同国では約10万5千haの農地でアーモンド、マカダミアを中心としたナッツの栽培が行われ、年間生産量は約19万5千t。世界で7位のナッツ生産国としてアジア、欧州をはじめとした世界65か国以上に輸出を行っている。日豪EPAが発効した15年以降は、日本でも豪州産ナッツがより身近な食品として浸透しつつある。
「オーストラリアのナッツ産業は、国家的な成功物語。年間生産額は12億豪ドル(約1千億円)に達し、地方経済にも大きく貢献している。生産の自動化や水利用効率の向上、生物的防除法などによる環境負荷低減とともに、高い食品安全基準、サプライチェーンの安定性などが評価されている」(コックス氏)。
アーモンドは世界生産量の8割を占める米国産の供給状況で価格も左右されるが、オーストラリア産も近年は生産が拡大傾向にある。オーストラリア・アーモンド協会のルー・マーティン氏によれば、4月にかけて収穫が行われた今年のアーモンド生産量は前年比約1割減の12万5千tとなったものの、来シーズンは16万t以上への躍進が見込まれるという。
「過去10年にわたりアーモンド産業は順調に輸出を伸ばし、50か国以上に出荷している。今後のグローバル市場でも引き続き成長が期待される」(マーティン氏)。近年は生産者が自ら農園のサスティナビリティの評価を行えるオンラインシステム「アーモンド・ホート360」も導入し、持続可能な生産を目指している。
オーストラリアが主産地である同国原産のマカダミアナッツは、国内に約800の生産者が存在。年間5万t以上を生産し、うち8割以上を海外に出荷する。同国にとって輸出量4位の重要な農産物だ。
オーストラリア・マカダミア協会のジャッキー・プライス氏は「アーモンドをはじめとした主要ナッツの最大供給国は米国だが、マカダミアはオーストラリアがトップ。クリーンでエコな生産者としても知られている」とアピール。「日本でも人気のナッツであるマカダミアには、今後の成長へ大きなチャンスがある。機能的価値と情緒的価値の両面を兼ね備えた幅広い魅力とともに、ナッツの中でも高いプレミアム感も利点だ」として、幅広い用途に対応して様々な形態での供給が可能であることなどを紹介した。
また料理研究家の脇雅代氏が、豪州産ナッツを生かした様々な料理メニューを考案。フォーラム後の会場で試食が提供された。