アサヒ飲料が国内初「CO2を食べる自販機」実証実験 内部に吸収材を搭載 資源循環モデル構築し脱炭素社会の実現に貢献

 アサヒ飲料は、脱炭素社会の実現に貢献する国内初の取り組みとして「CO2を食べる自販機」と称する飲料自販機を活用した実証実験を6月から開始する。

 実証実験は、自販機にCO2吸収材を搭載し、吸収したCO2を肥料やコンクリートなどの工業原料に活用するもの。

 搭載する吸収材は、市場に数ある吸収材の中でもCO2吸収能力が国内最大とされる。自販機の使用電力をつくるときに排出されるCO2を最大20%吸収する。

 自販機メーカーの技術進歩により自販機全般のCO2排出量は減少傾向にあり、日本自動販売システム機械工業会の出典によると、2022年の自販機1台当たりのCO2排出量は05年比約60%減の約300kg。

 今回の実証実験は、この約300kgの排出量を最大20%吸収する取り組みとなる。

 将来的には自販機メーカーなどの協力のもと、CO2排出量のさらなる削減とCO2吸収能力の向上の両輪でカーボンニュートラル機の実現を目指していく。

左から9日発表したアサヒ飲料の米女太一社長と相田幸明CSV推進部長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から9日発表したアサヒ飲料の米女太一社長と相田幸明CSV推進部長

 9日発表した米女太一社長は「自販機稼働電力由来のCO2排出量が減っていくことと、我々の吸収材の吸収量が上がっていくことでカーボンニュートラル機になることを目指していく」と意欲をのぞかせる。

 吸収材は自販機内部の下段に取り付けられ、実証実験では関東・関西エリアを中心に約30台を設置する。

 相田幸明CSV推進部長は「まるで木を植えるような形になる。当面は新規設置先様に向けに取り付けていくが、既存の設置先様の自販機への搭載も可能。1台あたりは小さいが仮に26万台に搭載したとすると、かなり大きな活動になる」と語る。

 吸収材のオペレーションは、各営業所が吸収材メーカーから吸収材を調達し、自販機への商品補充の際に吸収材を搭載する。

 吸収材の交換は月2回の頻度を想定。回収した吸収材は、今後募る賛同企業や賛同団体との共創のもと、肥料や建材などに活用されることを計画する。

 資源循環モデルとなるため、規模拡大はパートナーの集まり具合によるところが大きい。
24年から本格展開を開始し、30年までにカーボンニュートラル機の開発を目指していく。

 今回の活動は「我々の商品やサービスを通じて人々が笑顔になる社会をつくることにつながる取り組み」(米女社長)と位置付けている。