6.7 C
Tokyo
2.2 C
Osaka
2025 / 12 / 29 月曜日
ログイン
English
飲料嗜好飲料進化するサイフォンコーヒー 世界大会に挑むUCC中井千香子さんがその魅力を語る

進化するサイフォンコーヒー 世界大会に挑むUCC中井千香子さんがその魅力を語る

 サイフォンコーヒーが進化している。

 サイフォン式抽出とは、アルコールランプやハロゲンランプでフラスコ内の水を沸騰させ、その蒸気圧を利用してお湯をフラスコの上にあるロート内に押し上げ、高い温度のお湯とコーヒー粉を浸漬して抽出する手法。

 UCCグループのコーヒー教育機関であるコーヒーアカデミー専任講師の中井千香子さんは、この抽出手法をトラディショナルと位置づけ、これに新技術を取り入れて、9月、サイフォンコーヒーに特化した世界大会「ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ(WSC)」に挑む。

 中井さんによると、海外では次々とサイフォンの新技術が生まれ、海外の抽出競技会(ブリューワーズカップ)ではサイフォンの担い手が増えているとし、その背景にコーヒーでニーズの多様化が進んでいることを挙げる。

 「サードウェイブの波が来て多様なコーヒーが選べるようになったと同時に、お店で多様な抽出器具も選べるようになり、アジアを中心にサイフォンが広がっていると聞く」と語る。

サイフォンコーヒーの大きな特徴は演出効果が高い点にある。
ガラス製の器具ごしにコーヒーができあがるまでの過程が目でも楽しめる。

 このような特徴から業務用では集客ツールになりうる。

 「見た目が大事であるのと、あとは一杯ずつお客様の目の前で淹れることができお客様に“自分のコーヒーがつくられている”と思っていただける。ドリップなどと比べて抽出後の温度が高いのも特徴で、温かさが長続きするため長居されるお客様には好適」と説明する。

ロートからフラスコに落とされたコーヒー
ロートからフラスコに落とされたコーヒー

 トラディショナルなサイフォン式抽出はこうだ。

 ロートにコーヒー粉を入れ、フラスコの水を沸騰させて完全に沸騰していることを確認してからロートをしっかりとフラスコに差し込む。

 次にお湯がロートの方に上昇してきたら、竹べらでコーヒーの粉とお湯をなじませるように素早く円を描くように数回攪拌(かくはん)する。

 抽出時間は、コーヒーの焙煎度や挽き方によっても変わるが、長すぎると雑味が出てしまうため1分を超えないようにすることがコツだという。

 抽出時間が過ぎたら火を消し、濾過をスムーズに行うために2回目の攪拌を行う。2回目の攪拌は「火を消すとコーヒーが次第にフラスコへと落ちていき、その落ちていくのを手助けするような撥拌になる」。

 これに対し、中井さんが過去の競技会で披露した抽出法は、沸騰させたお湯にコーヒー粉を入れて、仕上げに水を入れてコーヒー液の温度を下げるやり方。

 これにより抽出ムラと苦味の抽出が抑えられるという。

 「トラディショナルなやり方でも十分においしいコーヒーを淹れることができるが、競技会の中で抽出方法が進化・多様化していることに対応していく必要がある。トラディショナルなやり方の場合、ロートの湧き上がるところが起点となってコーヒー粉がお湯に浸され、沸き具合によってスピードが異なり、しかもコーヒー粉に抽出のムラができてしまうため、これらの点の解消を試みた」と振り返る。

 仕上げに水を入れる理由については「抽出の前半に酸味や甘さといった、おいしい成分が抽出されるが、後半になればなるほど苦味や口当たりのざらつきが出やすいため、後半に水を入れて温度を下げることで抽出効率を低くすることが目的」と述べる。

 現在、中井さんは9月の世界大会に向けて、さらなる新しいやり方を試行錯誤している。なお世界大会にはコーヒーの調達・焙煎など他部署の社員とのチーム一丸で臨む。

関連記事

インタビュー特集

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。