新型コロナ5類移行で軽症の薬剤価格は5~10万円 プラズマ乳酸菌に手軽に求めやすい治療薬の可能性 長崎大・キリンが発表

 長崎大学とキリンホールディングスは4月28日、プラズマ乳酸菌を用いた特定臨床研究成果を発表し、プラズマ乳酸菌が新型コロナウイルス感染症の軽症患者への手軽な治療薬になりうる可能性を示した。

 同研究は、長崎大学病院呼吸器内科の山本和子講師(現:琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座教授)が中心となり2021年12月から取り組んできたもの。

 オミクロン株BA.1の流行期間中、重症化リスクの高い高齢な患者を除く20歳以上65歳未満の男女100人を登録した。

 その後、4人を除外し、50人に、プラズマ乳酸菌を含むハードカプセルを1日4粒、残りの46人にプラズマ乳酸菌を含まないハードカプセル (プラセボ)を1日4 粒をそれぞれ宿泊療養所と自宅で14日間摂取してもらったところ、副次評価項目として、プラズマ乳酸菌を摂取することで嗅覚・味覚異常の改善を早めることが示唆された。

 一方、主要評価項目である、咳・呼吸困難感・倦怠感・頭痛など7つの自覚症状の総合点は両群間で差は認められなかった。

 山本氏は、オミクロン株BA.1の軽症患者に限定したプラズマ乳酸菌の可能性について「プラズマ乳酸菌を含むカプセルを内服すると、おそらくプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)が維持され、pDCがウイルスの排出を早める。それが最終的に味覚・嗅覚障害の症状の改善につながると考えている」と説明する。

 プラズマ乳酸菌には、NK細胞やキラーT細胞など複数の免疫細胞に指示を与えて統括するpDCを活性化させる働きがある。

左から4月28日発表会に臨んだ長崎大学の泉川公一副学長、山本和子氏、迎寛氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から4月28日発表会に臨んだ長崎大学の泉川公一副学長、山本和子氏、迎寛氏

 軽症患者への安全で手軽な治療法がない現状にも触れる。

 5月8日には新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2類相当から5類に引き下げられることで、公費負担で無料だった検査費・医療費は自己負担になる。

 軽症に対する治療薬について「日本の薬を含めて3種類あるが、薬剤価格をみると5~10万円で、かなり治療を受けづらい状況が金額的にも起こる」と指摘するのは、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座呼吸器内科学分野の迎寛教授。

 「今後、感染症から自分を守るということに関して自己責任が強くなり、免疫を手軽かつ安全に高められる医薬品を探索することが社会的に強く求められる。インフルエンザを含めて感染予防効果としてエビデンスがあるプラズマ乳酸菌が有望な候補」と続ける。

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