複雑で精巧な仕組みの「食べる」 それが上手く機能しなくなる「誤嚥」の予防・対処法とは? ネスレが発信

 ネスレ日本ネスレヘルスサイエンスカンパニーは14日、国立国際医療研究センターリハビリテーション科の藤谷順子氏を招いたプレスイベントを開催し誤嚥(ごえん)の予防と対処法を伝えた。

 誤嚥とは、食べ物や唾液を飲み込むときに、食道ではなく気道に入り込んでしまうことで、加齢に伴う嚥下(えんげ)機能の低下に疾患など複雑な要素が絡み合って引き起こされる。

 栄養不足も誤嚥の一因で、むせたり、飲み込むのに時間を要するようになったりして食べるのが億劫になってしまうと低栄養になりがちとなり、低栄養で治りにくくなるという悪循環に陥る恐れがある。

 藤谷氏は、「食べる」行為(摂食・嚥下の生理)が複雑で精巧な仕組みによって成り立っていることを紹介する。

 食べる行為は、大きく分けると、先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の順で進められる。

国立国際医療研究センターリハビリテーション科診療科長・リハビリテーション科医長の藤谷順子氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
国立国際医療研究センターリハビリテーション科診療科長・リハビリテーション科医長の藤谷順子氏

 先行期が食べ物を目にして口に運ぶまで、準備期が食べ物を口に取り込み咀嚼するまで、口腔期が食べ物をのどの方へ送り込むことをそれぞれ指し、この段階から複雑な仕組みになっていること明らかにする。

 「食べ物を嚙みとってすぐに唇を閉じて口内の奥に送り込む。前歯では噛めないので臼歯に送り込んで噛み、食べ物の噛めたところと、噛めないところを入れ替えて、全部噛めるまで噛んで真ん中のほうに入れてのどに送り込む」と説明する。

 その後、嚥下反射(ごっくん)が起こる咽頭期、食道から胃へ食べ物を送り込む食道期に移る。
 「誤嚥は嚥下反射が悪くなったと思われがちだが、その前段階でも高齢で入れ歯になったり、頬の力が落ちただけでも咀嚼や嚥下が弱くなる」と述べる。

 講演中、ペアになった記者同士にカップに入った水を相手に飲ませ、相手から飲ませてもらう体験を促し、例えばペットボトル飲料を飲むという行為も無意識のうちに口の中に入る飲み物の量を感知しながら口栓を傾けていることを伝える。

 そのため「他人に飲ませるのも、他人から飲ませてもらうのも大変で、なぜかというと飲み物をサラッと入れられると誤嚥してしまうと恐れるため。その際、とろみのついた液体であれば、口の中に入ったときに一気に流れる気持ちがしないので少し怖くない」という。

 嚥下障害は、正常と嚥下障害が明確に線引きされているのではなく、例えばケガなどで寝たきりになり食べ物や飲み物を与えられる状態になると、むせやすくなる。

“誤嚥防止を目的としたえん下困難者に適した食品”と表示を記載した「アイソカル ゼリー ハイカロリー」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
“誤嚥防止を目的としたえん下困難者に適した食品”と表示を記載した「アイソカル ゼリー ハイカロリー」

 その点、ゼリー状の栄養補助食品は「悪のスパイラルを断ち切る効果はとてもある」とする。
 「食べ物を飲み込む直前まで噛んで加工した状態を食塊(しょっかい)というが、ゼリー状の商品はその食塊に近い状態になっている」と続ける。

 QOLについては「QOLは押し付けられると下がってしまうため、いい商品であっても同じ商品が与えられ続けばQOLは下がってしまう。提供の仕方が大切で、いろいろな食事と組み合わせたり、家族みんなで食べれば嚥下食(栄養補助食品)も受け入れられてもらえる。嚥下食においては、おいしさやパッケージの色合いなども大切だと考えている」。

 誤嚥してもむせなかったり呼吸苦が起こらないなど誤嚥の徴候が捉えられないこともある不顕性誤嚥の注意も促す。
 「鼻から管を入れると、入れ始めは痛いが時がたつにつれ慣れてしまう人がいるように、頻繁に誤嚥をしていると、気道に食べ物が入っても感知せず、むせなくなることもある」と語る。

 誤嚥にならないための予防策としては、おでこ体操やコップ1杯分の“ブクブクうがい”を推奨する。
 「どれか1つというのではなく合わせ技でやってほしい。うがいはコップ1杯分を“ブクブク、ペッ”と強くやると頬や呼気を鍛えることになる」と説明する。

 ネスレヘルスサイエンスはヘルスケアに特化した事業で、日本では医療・介護現場で「アイソカル」ブランドの栄養補助食品を展開している。
 3月中旬からは“誤嚥防止を目的としたえん下困難者に適した食品”と表示を記載した「アイソカル ゼリー ハイカロリー」を順次出荷する。

 

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