防災食にもサステイナブルの波 自治体、企業、病院食の決め手に

2011年に発生した東日本大震災から12年が経過した。おりしも今年は関東大震災から100年の節目の年にあたり、9月1日の「防災の日」に向けて防災食の需要は大きな拡大が予想される。

防災食の需要は1年のうち春と秋にヤマが二つあり、12年前に東日本大震災が発生した3月11日を起点とした防災月間シーズンと、9月1日の「防災の日」のほぼ1週間に防災需要が集中する。これらはあくまでも個人向けの需要だが、法人向けの防災食品は早くからメーカーによって防災卸など流通に向けた提案が行われており、開発力や提案力を競っている。

法人の主なチャネルは行政・自治体のほか、企業や学校、病院、福祉施設、駅、JRなど幅広い。

企業や自治体向けは防災用品商社が活躍している。こうした商社にも納入先の得手不得手があり、防災士の資格を持った社員が営業している。法人向けは賞味期限が平均5年の商品が定番で、様々な種類の防災食を人数分や数日分にまとめたセット商品が人気となっている。

被災者の中には噛むことや飲むことが難しい高齢者やアレルギー患者など、普段から配慮された食事を必要とする要配慮者も含まれる。災害が数週間続くと手軽に飲める野菜ジュースやスープが好まれ、オフィスに常備されている菓子類とともに常備ボックスを設置する企業もある。

さらにノンアレルギー食品も注目され、各社は様々な備蓄食品に適用してきた。災害時など食事の選択肢が少ない場合にも、食物アレルギーを持つ人も安心して食べられるように配慮されてきた。

一方、ここにきて環境に配慮した商品も登場し、法人や自治体にアピールしている。尾西食品は昨年から非常食にエコマークを取得し、包装資材に再生プラスチックを取り入れることで資源循環・環境負担低減を訴求している。また、グローバル化に伴い、ハラール認証を取得した防災食の需要も増加。緊急時にイスラム教徒の人でも心配なく食事が摂れるよう、ハラール認証取得商品も出回ってきた。

一般の加工食品と同じように防災食、備蓄食品にもサステイナブルな社会を目指した開発商品が目立っており、特に自治体や企業、学校、病院など法人系営業の決め手となっている。