ニップンが事業戦略 課題解決営業を推進 国内外で成長領域へ投資

ニップンは2月22日、センチュリーサザンホテル(東京都渋谷区)で業界専門紙記者懇談会を実施。当日は前鶴俊哉社長以下、各事業担当役員が出席し、第3四半期および通期の見通しなどを説明した。前鶴社長は「今期はたいへん厳しい業績を見込んでいたが、冷食事業をはじめ各事業が健闘している」と述べるとともに、グループ全体の概況や、昨年5月、新たに掲げた経営理念のほか、事業戦略、人的投資、社会貢献、食育についての考え方を説明した。

基本方針の一つである「成長事業への戦略投資」については、「既存事業の構造改革と成長ドライバーの継続展開、新規事業の創出に向け経営資源を最適配分しながら経営基盤の強化を進める。特にインオーガニック成長については、新規事業への進出などを進めていく。具体的な内容についてもなるべく早く情報開示したい」と抱負を述べた。

製粉事業について堀内俊文副社長は、「ロシア―ウクライナ戦争によって諸々の原料高騰があり、国内市場も大きく伸びるのは難しい。食の多様化が進み健康志向も高まっているが、それらのニーズに合った食品を供給していくとともに、小麦粉を安定的に供給することが基盤事業の大事な部分と考えている。ニップンの製粉事業としてできることに取り組む」と説明。2024年問題を見据えた共同配送や配送時間短縮の取り組みのほか、工場の省エネ化、環境負荷低減についても、最先端の製粉工場となる知多新工場(2026年2月稼働予定)を紹介し、「課題解決営業をさらに進めて顧客の事業発展につなげたい。ていねいに、しかしスピードを持って取り組んでいく」と述べた。

食品事業については大内淳雄専務が第3四半期までの事業環境、基本方針を説明。「業務用は行動規制の緩和で会食の再開、インバウンドのフォローの風が吹いているが、消費回復は一服感がある。第3四半期は、売上高二ケタ増も営業利益は減益だった」としながら第4四半期の見通しを述べ、商品政策については「美味しさ、健康、簡便のコンセプトに加え、環境配慮の流れもニーズ変化の一つ。即食型の冷凍食品は、包装容器のコストウエートが高いが、まず美味しいこと。ドライ食品では、ひと手間でわが家の味を提案しており、『めちゃラク』シリーズも評価いただけている」と述べ、プラントベース食品、ビーガン食品についての取り組みも説明した。

財務戦略については青沼孝明常務が、2026年度までに目標とする指標(営業利益150億円、ROE6%以上、ROIC4%以上)とともに、「当社は業務用ミックスなどの基盤事業により安定してキャッシュフローを確保できるのが強み。事業戦略に基づき、900億円以上を基盤事業の生産性や収益向上、省人化、合理化に向けた投資に加え、国内外での成長領域への投資、新規事業開発、環境負荷軽減、インオーガニック成長(提携・M&A)に投資していく」と説明。また、キャッシュインでは政策保有株式や遊休資産の売却などについて言及した。