サッポロビール ワイン&スピリッツ「プレミアム」「リーズナブル」両軸で顧客接点強化へ

サッポロビールのワイン&スピリッツ事業では今年、「プレミアム」と「リーズナブル」の2つの価値セグメントで、新たな発想による顧客接点づくりに取り組む。消費の二極化が鮮明化するなか、両面から顧客満足を実現。熱狂的なファンの獲得を進める。

同社のワイン&スピリッツは、昨年は市場を上回る実績で着地。金額ベースでは、昨年7月に値上げを実施したワインは前年比107%、ウイスキーは122%など好調だった。

「お酒との関わり方や選択理由の変化を捉え、多彩なお酒の魅力、楽しみ方を発見する機会を創出したい。プレミアム価値の商品では、ブランドのモノづくりの哲学でお客様との絆を深化。リーズナブル価値では、新しいカテゴリー創造、新領域開拓、自由な楽しみ方の提案を行い、ウェルビーイングな社会の実現を目指す」(2日の会見で常務執行役員マーケティング本部長・佐藤康氏)。

大きな期待を寄せるのがRTSとウイスキーだ。「濃いめのレモンサワーの素」など割って楽しむRTS商品はコスパや簡便性、カスタマイズできる楽しさを体験できる新しい酒としてリーズナブル価値をアピール。

「今年はド定番のレモンサワーを軸とした居酒屋定番商品と、新機軸サワーの両輪。業家連動・RTD連動のマーケティングでブランド露出を拡大し、RTS市場を盛り上げたい」(ワイン&スピリッツ事業部マーケティング統括部長・柿内望氏)。

ウイスキーでは、エイジドや希少品など付加価値商品へのニーズが高まるとみる。昨年はウクライナ情勢などから不安定な需給状況が続いたが、家庭用スコッチ市場は堅調。2千円以上の高価格帯の伸びが目立ったという。

スコッチ「デュワーズ」は「いつも胸に、好奇心を。」をテーマに、高価格帯の「12年」と8年エイジングの「ユニークカスク」シリーズで選択の幅を拡大。業家連動で飲み方提案を行う。

ワイン事業では、20周年を迎える日本ワイン「グランポレール」の情報発信を拡充。話題性ある新商品の投入や、シングルヴィンヤードシリーズの拡販に取り組む。北海道のヴィンヤードからの発信も強化。「余市」に加え、18年開園の「北斗」初となる商品も上期中の発売を計画する。

輸入ワインでは、伝統国であるフランスワインの魅力発信に注力。豪産デイリーワイン「イエローテイル」によるアウトドアでの飲用シーン提案で市場創出。スペイン産「パラ・ヒメネス」もオーガニックに加えてヴィーガンやビオディナミなどの価値訴求を強める。