キリンビバレッジは、節約志向が高まる一方で価値があると判断されたものはその価値と見合う価格で買われる傾向を受けて付加価値商品を強化していく。
1月25日発表した吉村透留社長は「従来のように販売数量を最優先に考えていたのでは、価格競争がさらに激しくなり飲料業界にとってもよいことはない。価格だけの価値ではなくて付加価値での戦いを挑み、飲料メーカーとしての存在価値を出していきたい」と語る。
この考えのもと「お客様との約束」として「お客様の毎日に、おいしい健康を。」の上位概念を新たに制定した。
キリンの競争優位の核となる健康にフォーカスし、ヘルスサイエンス領域を強化するとともに全てのブランドを通じて、生活者の毎日に心と体の健康につながるおいしさで貢献していく。
「本当に健康に過ごすためには、体の健康だけではなく、人とのつながりからくる喜びや幸せが大切で、心の健康に対してもいろいろな提案をしていきたい。ヘルスサイエンスの領域を強化するとともにお客様の健康をいつも真剣に考えている会社を目指していきたい」と意欲をのぞかせる。
毎日の健康に貢献する強固なブランドポートフォリオを構築していく考えで、その一丁目一番地が「プラズマ乳酸菌」入り飲料による高収益化となる。
次いで「午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズや「生茶」の強化、ファンケルの「カロリミット」ブランドを活用した新商品の発売などが優先活動に挙げられる。
付加価値化にあたり全体的に健康を軸足にしていく考えだが嗜好軸にも意欲をみせる。
「疲れたときに甘いものを飲んでみると“もう少し頑張ってみようか”と思うことがあるかと思う。おいしいものや少し酸っぱいものが欲しいときに、そのようなニーズを満たす商品を提供することで心の健康や付加価値化につながっていくと思っている」との見方を示す。
嗜好軸での付加価値化も視野に入れながら「午後の紅茶」と「生茶」の基盤ブランドの育成に取り組む。
「午後の紅茶」は、「おいしい無糖」シリーズに新商品「無糖ミルクティー」を加えて3品体制に拡充して健康志向に対応するとともにレギュラー3品「ストレートティー」「ミルクティー」「レモンティー」を中心に紅茶本来の価値も発信してブランド計で今年、前年比5%増の5220万ケースの販売数量を目指す。
「生茶」は、春にリニューアルを実施するなどして15%増の3230万ケースの大幅増を計画。
成清敬之執行役員マーケティング部長は、「生茶」大幅増に向けた施策の詳細は今後明らかにするとした上で「実際にお客様がお茶を飲まれるシーンは昔と比べ随分と変わってきており、ニーズの変化もつかみながら『生茶』を刷新し強化していきたい」と説明する。
なお「ファイア」は今年、1%増の2200万ケースを目標に掲げ、飲料計では2%増の2億540万ケースを計画する。