おでんなど鍋物食材や、包装餅などお正月食材、おせち、スープ、中華まんなど冬物商品の需要が本番真っ最中だ。それぞれのカテゴリーが季節要因に左右され、ここにきて冬らしい寒さの到来により、各社は強気の姿勢をみせている。一方、原材料の高騰やエネルギーコストの上昇などにより多くの食材が価格改定を実施。23年に第2弾の値上げを行う食材も多い。内食特需が一段落し、インフレに伴う節約志向もあり、今冬は難しい舵取りを迫られそうだ。
冬物食材の定番の鍋料理。ベイシア調べによる直近の鍋に関する消費者調査では、「40%以上の人が冬場は週1で鍋を食べる。1人当たりの金額は300~500円未満が最多。物価高騰で節約意識が高まる中で、食材の『かさ増し』に興味がある人は約6割。かさ増し食材のキーワードは豆腐」などの新常識が浮かび上がったと言う。
簡単につくれ、肉や魚、野菜がバランス良く摂れる鍋料理。鍋用調味料も堅調な動きで推移している。節約志向が高まる中で食卓の出現頻度が高まっていると大手メーカー。トップのMizkanは、トレンドの辛味に着目した「辛鍋つゆシリーズ」や、好評の「スープも味わうしゃぶしゃぶシリーズ」の新商品を発売。肉だけでなく野菜も摂れるメニューや商品を提案し、市場の活性化を図っている。
おせち商戦に向け練り製品メーカーは、12月後半からの短期決戦に挑んでいる。値上げの波は、おせちにも波及しており、大半の商品は中身や規格変更を余儀なくされた。「お正月は家族で」を掲げながら、若年層の需要の掘り起こしも共通テーマになっており、紀文食品では、次世代向けキャラクター蒲鉾「すみっコぐらしかまぼこ」や「ハローキティ ポムポムプリンかまぼこ」などが好調だと言う。
忙しい朝の食事や職場のランチ、テレワークの合間などコロナを契機に飲用シーンの広がりを見せているスープ市場。行動規制の緩和で今年上期の売れ行きは前年を割ったようだ。各社は新製品や販促などで巻き返しを狙っている。味の素は「クノールスープDELI」をリニューアル。さらにスープパスタの3食入袋、パン入りの新品種も発売。販促では10年ぶりの地上波スポットテレビCMを放映し「クノールスープDELI」の認知拡大を目指している。ポッカサッポロフード&ビバレッジは、「Ça va(サヴァ)缶」とのコラボ商品第2弾として「じっくりコトコトこんがりパン サバのポタージュブラックペッパー仕立て」を発売した。
切り餅、丸餅、鏡餅からなる包装餅。冬の風物詩からの脱却は簡単ではないが、オフシーズンの底上げにも注力。おやつや鍋具材、朝食やトッピング向けなど様々なシーンを模索している。「鏡餅を取り巻く環境は、生活スタイルの変化や新型感染症の拡大に伴うニーズの多様化から市場全体ではダウンサイジング化傾向が続いている」とサトウ食品。「サッと鏡餅 まる餅入り66g干支イラスト」は、家庭内の小規模空間にもフィットするサイズで鏡餅本体に干支イラストをデザイン。
コンビニの定番になっている中華まん。常温、冷凍とともに、コンビニの加温機にはチルド製品が並び、互いにしのぎを削っている。原材料やエネルギー価格の高騰により価格改定が行われ、流通PB商品との開きも出てきた。定番の肉まん、あんまんとともに、今ではピザまんも浸透し、カレーまんやショコラまんなど、中身の具材や生地にこだわった商品も発売されている。