ブロンコビリー傘下に入った松屋栄食品本舗 シナジー発揮へ外販商品も視野 古田光浩社長に聞く

既存NB・PB開発にも磨き

1976年(昭和51年)創業、業務用つゆ・たれや各種調味料のOEM・PB受注を軸に事業展開する松屋栄食品本舗(愛知県犬山市)。特に焼肉のたれなど肉系調味料や和惣菜の定評が高く、家庭用でも近年はオリジナル商品を積極投入。「焼肉のたれ」は地元スーパーでも定番の一つで、鍋つゆはNB・PBともに個性豊かな品揃えが特徴だ。

今夏、中部地盤の外食チェーン・ブロンコビリーの100%子会社となり新生スタートを切った同社。7月1日付でトップに就任した古田光浩社長の下、次なる成長に向けて商品開発にさらなる磨きをかけていく。

ブロンコビリーは東海・近畿・関東などでステーキ・ハンバーグレストラン約130店舗を展開。「ご馳走カンパニー」をコンセプトに食材調達・工場加工・店舗調理の一貫体制を敷き、ステーキ・ハンバーグソースやサラダバーのソース・ドレッシング、スイーツ、アイスクリームなどを自社工場で製造している。

今回の松屋栄食品本舗の子会社化は、今後のさらなる業容拡大に対応するための工場能力拡充、自社開発によるソースや惣菜類の差別化を推し進めることなどが狙い。ブロンコビリーブランドのソース・ドレッシング類の外部販売も視野に置く。

今後の松屋栄食品本舗の事業展開については、「採算性を高める上で一部商品の見直しもするが、基本ラインは従来の商品展開を維持しながらブロンコビリーの分が乗るイメージ。それが松屋栄食品本舗の信用力やブランドにプラスとなり、売上アップにつながる。そういうシナジーが描いていければいい」と古田社長。

古田社長はインテリア専門商社、広告代理店、ドラッグストアなどを経て2010年にブロンコビリー入社。経営企画を軸に幅広い分野を歴任。直近では成長戦略室長を務め、今回のM&A案件でもその中心にいた。

「ブロンコビリーの新たな成長戦略を描く中で、お店のステーキソースやドレッシングをお客様がお家で楽しめるようにしたいという思いがまずあった。加えてコロナ禍の間にお客様がブロンコビリーの味を忘れてしまうという危機感も。ただブロンコビリーの料理はできたてを店で食べていただくというもので、テイクアウトやデリバリーにはそぐわない。それに、味に対してはとことんこだわっていきたい、そうしたことを一緒にできる相手が松屋栄食品本舗だった」とする。

すでに今秋からブロンコビリー店舗向けソース類の一部製造を開始。従来商品も含めた今後の取り扱いアイテム増加を見据え、来年春には松屋栄食品本舗の製造工場増築工事に着手する予定。ブロンコビリーブランドの外販商品投入にはまだ時間を要するとのこと。

「ブロンコビリーの場合はあくまで社内(店舗)で使うものだけ。そこの基準をクリアできればいいが、外販商品に関して賞味期限など品質管理のハードルがぐっと上がる。また、われわれが自信をもって出せる味であることも重要。この2つをクリアできなければ、その名を冠することはできない。われわれにはない製造ノウハウや販路をもつ松屋栄食品本舗がグループに加わったことは心強い。松屋栄食品本舗が独自に提案できるものがあれば、それも採り入れてプラスαの成果、シナジーを出していきたい」