本格焼酎の復権へ、異色の取り組みを続ける濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)。今度は「音楽」で焼酎シーンを盛り上げる。
ライチのような香りの芋焼酎「だいやめ~DAIYAME~」は、業界の次代を担う本格焼酎として18年に発売。SNSから人気に火が付き、若い世代で支持を広げる「香り系焼酎」のパイオニアだ。
「だいやめ」とは、「晩酌で一日の疲れを癒す」という意味の鹿児島方言。これを表現した初のCM「今日のやめどき、だいやめどき。」も6月から放映中。その世界観を広げるため、音楽配信サービス「Spotify」上に蔵元が選んだ楽曲を集めた「癒しを届けるだいやめミュージック」を作成し、第1弾を9月に公開した。
今月から公開中の第2弾では、Twitterで“だいやめどき”に合う音楽を募集。約2千300件の応募から、「メトロノーム」(米津玄師)、「Hello, my friend」(松任谷由実)、「色彩のブルース」(EGO-WRAPPIN’)など19曲を厳選している。
「“だいやめ”は、その日の疲れを癒して明日への活力を高めるという、人々の気持ちに寄り添う生活習慣。音楽もそれに近く、うれしいときにはリズムが心を躍らせたり、迷っているときには決断へ背中を押したりと、いつも寄り添ってくれる存在だと思う」。同社マーケティング本部の川野修郎氏は語る。
「だいやめ」は日経POSセレクション2022でゴールド賞を受賞。人気タレントの相葉雅紀さんがTV番組で紹介した直後には需要が殺到し品切れとなった店舗も。
「(芋焼酎を)飲めなかった人にも広がっていることが、ほかの焼酎との違い」と語る川野氏。
「国内の焼酎市場は、ブーム以降は縮小。加えて若者の酒離れも言われる。だが実際には今の20代の方などは、自分の好きなものを見つけたらちゃんとお金を使う」とみて、今後も新たなアプローチで本格焼酎の魅力を発信する。