製油大手2社 搾油機能の全国統合で合意 来春、西日本に合弁会社

日清オイリオグループとJ-オイルミルズは9日、搾油機能の全国統合および西日本エリアにおける搾油合弁会社設立について基本合意した。今後、関係当局の許認可等を得られることを条件に、23年4月予定で岡山県倉敷市に搾油合弁会社を設立する。

日清オイリオ、J-オイルミルズの製油大手2社は、将来にわたって日本の食を支えるという使命のもと、「油脂と油粕の安定的な供給」「持続可能な国際競争力の強化」の実現と「環境・社会課題の解決」を目的に、21年5月から国内搾油機能の全国統合を見据えた搾油合弁会社に関する検討を行ってきた。

今回、搾油機能の全国統合と西日本エリアにおける搾油合弁会社の設立で基本合意に至ったもの。新設する西日本エリアの搾油合弁会社は、日清オイリオグループの水島工場(搾油工程)とJ-オイルミルズ倉敷工場の2工場を対象に、両社からの搾油受託事業(原油と油粕の製造)を行う。川上の搾油工程に特化し、水島港に隣接する両社工場の搾油ラインを一体運営することで、生産の効率化につなげる。

両社では今後50年以上先の環境変化を見据え、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指すとともに、AIやIoTの活用によるスマートファクトリー化、脱炭素社会への取り組みなど、環境・社会課題の解決につながる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進する。

今後、基本合意に基づいて搾油合弁会社の詳細について協議を進めるとともに、全国の搾油機能を統合することについても協議する。

製油業界は、世界的な人口増加と気候変動リスクで食料需給の逼迫が懸念される一方、国内市場は人口減少と少子高齢化に伴う需要縮小により、油脂・油粕の需要は長期的に低下することが予想されている。国内の製油企業では、建設後50年以上を迎えた搾油設備の老朽化も課題となっており、長期的な視点で国内製油産業の持続可能な供給体制構築を目指す構えだ。