おせち市場 重詰予約は順調 広域強化で冷凍品拡充も

今年のおせち商戦、コロナ禍3度目の年末年始は過去2年とは異なる様子になりそうだ。重詰の予約はおおむね前年並みの進捗。帰省や外出が増えるという予測が立てられており、特に地方の需要が拡大することが見込まれる。百貨店や量販店の重詰販売は二ケタ増と強気の計画も珍しくない。首都圏の百貨店では広域配送可能な高級冷凍おせちを拡充。市場全体では、コロナ禍で進んだ個食対応の強化や、若年層家族からの支持が根強いセット品に注力する傾向がみられる。

昨年末の単品おせち販売は前年の巣ごもり需要の反動を受けたが、メーカーによると首都圏では物量ベースで5%程度の減少、地方では微増との予測が大方。前年は消化率が想定を下回ったが、これを教訓に11月中の超早期展開や催事と組み合わせるなど店頭露出が高まっている。市場は重詰の販売拡大が目立つが、今年は価格改定などもあり需要喚起次第では前年の実績を十分に超えることが期待できる。

今シーズンは行動制限が解除されていることもあり、現時点では帰省や外出の多い年末年始になると考えられる。新型コロナウイルスの第8波襲来やインフルエンザとのダブル流行も懸念されているが、ウイズコロナでの社会活動が進む中で多くの生活者の日常が徐々にコロナ以前の形に戻りつつあるからだ。食品や光熱費の値上げが家計に影響し生活防衛意識は高まる一方だが、「年始ぐらいは贅沢したい」という人が多く、今シーズンも重詰の予約状況はおおむね順調。メーカーや販売店の多くは、帰省が増えることで地方でのおせち販売が単品・重詰とも前年を上回るという予測を立てている。

「帰省先に贈ったおせちを親子3代で食べたい」という購入動機も久しぶりに増える見通しで、広域配送可能な冷凍重詰の人気が高まっている。冷凍重詰は「高級」「本格」を訴求した商品が多く登場しており、百貨店はレストランやホテル、有名シェフによる高級冷凍おせちの品揃えを強化している。松屋では全国配送可能な高級冷凍おせちを前年の倍程度ラインアップ。大丸・松坂屋も冷凍おせちを前年の4割近く増やして販売する。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)