「麦価据え置き」にため息

政府が経済対策として国費の追加歳出を閣議決定した。財政のさらなる悪化は免れないものの一般家庭では高騰の続く光熱費、ガソリン代の軽減が見込まれる。実施は来年1月以降の予定だが、寒い季節に一応は胸をなでおろすことになろう。

▼「1円でもいいから上げてほしかった」とため息交じりに話すのは小麦の2次加工業者。政府は10月期の輸入小麦売渡価格を据え置いた。前回と同様、引上げが予想されていただけに安堵の声も聞かれるが、商売の現場は一筋縄ではいかない。

▼「春の値上げは概ね受け入れてもらえた」と安心するメーカーがある一方、発言力の弱い一部の中小企業は得意先が渋ったまま数か月を経てしまった。

▼秋こそは不退転の覚悟で交渉するつもりだったが、主原料の据え置きで旗印を失った格好だ。副原料や燃料は容赦なく上がっており、その分を転嫁しなければ会社の存続も危ぶまれる。「資材屋は月に2度も値上げを要求してくるのに、われわれに与えられた交渉のチャンスは年2回だけ」と嘆きつつ、もう一度覚悟を決めると意気込んでいる。

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