江崎グリコ「アーモンド効果」飲まれ方と使われ方に広がり  コーヒーはアーモンドミルクの香ばしさとの掛け算で相性抜群

 アーモンドミルク市場の9割強のシェアを握る江崎グリコの「アーモンド効果」は、飲まれ方とコーヒーや料理などへの使われ方に広がりをみせ拡大を続けている

 この流れに拍車をかけたのが、昨年9月14日に放映されたTV番組「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)で、新規ユーザーが流入。アーモンドミルクへの注目度が一層高まり、アーモンドミルク研究会によるとアーモンドミルク市場は2021年、販売金額は48%増の148億円、販売量は37%増の3万KLとなった。

 「TV番組によって40‐60代の新規購入者と購入者あたりの個数が非常に増えたことに加えて、今期(12月期)のメディアターゲットとして25~50代にも発信していることもあり幅広い層のお客様を獲得している」と健康事業・新規事業マーケティング部の折原唯氏は振り返る。

 200ml・1Lともに伸長し、常温保存でき保存期間270日という容器特性からケース販売も拡大。200mlではまとめ買いして持ち運ぶ動きもみられるようになったという。

江崎グリコ健康事業・新規事業マーケティング部の折原唯氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
江崎グリコ健康事業・新規事業マーケティング部の折原唯氏

 「1日分のビタミンE(アーモンド5g使用)の訴求は200ml換算のため、200mlは摂れる栄養成分が把握しやすい分量として支持され、職場などに持ち運びされ朝食や昼食に飲まれている」と説明する。

 200mlのアイテム構成比は「オリジナル」「砂糖不使用」「3種のナッツ」の順に高く、その中で「3種のナッツ」が引き続き伸び盛りになっている。
 その要因について「ほどよい甘さと鉄分が摂れること、さらにナッツのお得感で支持されている。『3種のナッツ』にはアーモンド以外にくるみ、ヘーゼルナッツが入っている」とみている。

 一方、1Lのアイテム構成比は「砂糖不使用」「オリジナル」「3種のナッツ」で、1Lではボリュームの大きい「砂糖不使用」が最も高い伸びをみせている。

 これには使われ方・汎用性の深化と広がりが奏功。

 その代表例となるのがコーヒーとグラノーラで、コーヒーについては「コーヒー愛飲者は香ばしさを求めている方が多く、アーモンドミルクの香ばしさとの掛け算で楽しまれているとみている。コーヒーとアーモンドはともに焙煎の妙味があり、業務用製品もコーヒーとの相性が抜群とのことで導入店舗が拡大している」という。

 汎用性の広がりとしては、スープ、青汁、プロテインなどを挙げる。この中でプロテインは、同社のスポーツフーズブランド「パワープロダクション」との販促によるところが大きい。

 「Amazon.co.jpでは『パワープロダクション』とのバンドル販売を展開しプロテインとの飲み合わせも増えている。風味も香ばしく、プロテインと相性が良いと語る。

 バンドル販売は味の素AGF社の「ブレンディ®コーヒー」、カルビーの「香ばしグラノーラ」、片岡物産のココアブランド「バンホーテン」など他社商品とも行っている。
 「コラボは新しい飲み方や食べ方に気づいていただくのに効果的な取り組みで裾野が広がる」との考えに基づき実施している。

パッケージでも「アーモンド効果のある朝キャンペーン」を告知 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
パッケージでも「アーモンド効果のある朝キャンペーン」を告知

 秋冬の目玉施策としては、9月1日から11月30日にかけて「アーモンド効果のある朝キャンペーン」を実施している。

 これは対象商品の購入ポイントを貯めて「ブレンディ®コーヒー」とのセットか「香ばしグラノーラ」とのセットに応募するもので、パッケージにもアテンションを入れて告知。「様々な楽しみ方をしていただきたいという目的もある」という。

 一部の店頭では初の試みとして9月から「香ばしグラノーラ」1食分相当の50gの小袋のベタ付けを実施し、その反響は上々という。

 売場全体ではケース販売が徐々に浸透。

 「2年前くらいからコロナ禍による世の中の変化やストックニーズに対応してケースでのご購入が一定のお客様に定着している。ケース販売限定の施策も実施している」。

 飲用シーンは調査結果から朝食時がメインだが、小腹満たしや夜の飲用など広がりをみせている。

 江崎グリコの取り組みとしては、汎用性の訴求に加えてアーモンドと「アーモンド効果」の栄養価値を伝える活動に注力している。

 今期は、素材であるアーモンドそのもの(粒)と「アーモンド効果」を柱に据えてコミュニケーションを展開。

 素材に踏み込んだ理由については「アーモンドミルクや『アーモンド効果』の認知はある程度上がってきているが、試していただけない理由としては具体的にアーモンドがどのようにカラダによいか明確ではないことが判明。そのため、ブランドとは切り離して素材広告も入れて訴求している」と説明する。

 松島花さんを継続起用し6月から放映しているTVCMでもアーモンドの素材に触れる。

 「アーモンドミルクがアーモンドからできていることを表現しつつ、松島花さんの健康と若々しさ、美しさにつながっていることを伝える」内容で、秋冬は9月に加えて11月の放映を予定している。
 「TVCMもターゲットがみている時間帯、番組にしっかり放映できるように踏み込めるようになった」という。

 今期は市場見通しと同様に1.2倍の拡大を見込む。インテージSRI+によると1-8月の販売個数は前年同期比約110%を記録した。