コンビニ大手3社 北海道で共同配送の実証実験 配送効率化、CO2削減に効果

流通経済研究所とセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンは内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「スマート物流サービス」において22年2月に実施した大手コンビニ3社の地方(北海道)における共同配送の実証実験に関する結果を公表した。

2024年問題など物流の社会課題解決に向けて、店舗密度が都市部よりも低い地方部(北海道)において、「コンビニの配送センター間の物流の共同化」「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」の効果を検証するもの。北海道・函館エリアにて22年2月21日からの1週間、実証実験を行った。

配送センター間の物流の共同化では、コンビニの物流では多くの在庫を持つ基幹センターと遠隔地にあるサテライトセンター間で商品の横持ち配送が行われているが、今回は自社のセンター間でしか実施されてこなかったセンター間の横持ち配送をチェーン横断的に実施。セブン-イレブンとファミリーマート、セブン-イレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから函館のサテライトセンターまでの横持ち配送の共同化について実証を行った。

実証結果では、幹線でのセンター間の横持ち配送を共同化することにより、1便当たり[配送に必要なトラック台数]1台削減、[配送距離]275㎏減、48%減、[CO2排出量]176㎏減.CO245%減、[配送時間]2.5時間減、23%減の削減効果を生み出した。

新商品の発売タイミングなどでは物流の増加によって、既存のトラックでは運送力が不足してしまい、チェーンごとにトラックを追加手配していることがあるが、今回実施した実証実験のようにセンター間の横持ち物流を共同化することで、前述した削減効果が期待できるという。

遠隔地(買い物困難地域)における店舗への商品配送の共同化では、共同配送トラックがローソンとセブン-イレブンのサテライトセンターで集荷した商品を、函館南西エリアの2社の近接した店舗(ローソン5店舗、セブン2店舗)に納入。函館南西エリアは、函館のサテライトセンターから遠い位置にあり配送効率が課題となっていたが、店舗配送の共同化を行うことにより、チェーンごとに別々に配送する場合と比べて、[トラック走行時間]11.5時間(2社計)→9.2時間に短縮(2.3時間減、20%削減)、[走行距離]280.8㎞(2社計)→218.9㎞に改善(61.9㎞減、22%削減)、[CO2排出量]36.2㎏減の削減効果を確認した。

なお、今回の実証実験の結果もふまえ、SDGsの視点も持って、コンビニ業界における新しい物流の形を、コンビニ各社とサプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討していく方針だ。