自販機の価値向上へ CO2排出量「実質ゼロ」始動 ダイドードリンコ

ダイドードリンコは、主力事業である自販機の価値向上を目指し環境対応を加速させている。8月からCO2排出量「実質ゼロ」の自販機「LOVE the EARTH ベンダー」を全国展開し、これまでに約200台を設置した。都内で開いた説明会の席上、中島孝徳社長は「自販機のトップランナーとして環境対応にも積極的に取り組んでいく」との考えを強調した。

「LOVE the EARTH ベンダー」のコンセプトは、「お客様と共にサステナブルな未来を創る自動販売機」。21年に始動した環境プロジェクトの一環で、カーボンニュートラル対応を基本価値としている。同社自販機は年間の消費電力量が660kwhの場合、約300㎏のCO2を排出するが、「再エネ指定の非化石証書」を購入することで、自販機の電力消費に伴うCO2排出量を削減して実質ゼロとする。設置先には協力の証として「カーボンニュートラル証書」を発行する。

なお、非化石価値取引市場での調達はカーボンフリーコンサルティング社に委託。あわせて独自の植林プロジェクトも実施。1台設置につき、秋田・長野・広島などの土地に1本ずつ植林する。CO2吸収源の増加で地域の環境保全に貢献することが狙い。

中島孝徳社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
中島孝徳社長
中島社長は「設置先の方々がSDGsや脱炭素に取り組むキッカケになれば」と期待を寄せる。身近な自販機を通じ、導入企業は手間をかけずにCO2削減を具現化でき、企業姿勢を対外的にアピールできる。さらに従業員への啓発につながることも想定。「『LOVE the EARTH ベンダー』は、脱炭素社会の実現に向け、お客様とともに価値を共創していくためのプラットフォームになり得る」(中島社長)。

一方、同社は2050年までの目標として自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラルを掲げている。中島社長は「自社のみならず、設置先の自販機まで含めて目標としたのはおそらく飲料業界で当社だけ。意欲的な計画と自負している」とした上で、「過去にも自販機の省エネ化や長寿命化をはじめ独自の活動を推進してきたが、業界のトップランナーであり続けるためこれからも率先して取り組む」と意気込みを語った。