“無益な据え置き”響かず 感度商品は値下げも検討 U.S.M.H 藤田元宏社長

エネルギーコストの大幅な上昇などに見舞われた上期。第2四半期連結業績は減収減益と苦戦した。家計に貢献すべく、多くの品目で価格据え置きを実施したものの、水道光熱費を筆頭とする諸物価高騰の家計への影響は想定を超え、十分な効果が得られなかった形だ。

U.S.M.Hの藤田元宏社長は、下期に向け付加価値商品やPBの売上拡大、徹底したコストダウンを進めることで、価格据え置きに加え、価格感度の高い品目については「引き下げ」も視野に取り組み、期初の通期業績予想の達成を目指す考えを示した。

価格感度高い商品は値下げも

上期は事業会社別に客数、売上高などにバラツキがあった。第1四半期から第2四半期にかけて若干縮小し回復基調となっているが、前年を超える水準には至っていない。上期の食料支出は前年を大きく割り込んでいる。家計支出を見ると、限られた収入の中、一定の部分を旅行や外食に振り向ける一方、電気代やガス代などは料金が上がるのに任せたことから、食料支出の面で非常に細かなやり繰りをする、といった家計の姿が見て取れた。こうした家計のやり繰りにどれだけわれわれが貢献できたか、ということが上期の客数、売上高に表れたものと考えている。

上期は生鮮部門を中心に物価上昇に抗えず、家計のやり繰りに貢献することができなかったが、下期は、コモディティの商品について価格体系をもう一度見直す一方、その原資とすべく、付加価値商品の拡大、PB売上構成比を上げることで支持回復を狙う。それを客数、買上点数といった指標で評価していく。

上期は値上げがあるなか、価格を据え置くことで対応してきたが、家計が厳しい、逼迫した状況の中、価格を据え置いたところで家計に貢献することにはなりえなかった。社内では「無益な据え置き」といっている。下期の価格政策は、どうしたら家計に貢献できるか、といったことに重点を置く。お客様の家計の中で、その必要性や使用頻度、価格感度の高い商品については、どちらかと言えば価格を下げていくという対策をとっていきたい。

10月から約1千500アイテムの値上げが報じられている。平均の値上げ率は約16%ということで、家計にはいま一段厳しいやり繰りが求められることだろう。これに貢献すべく、競争力のあるプライス設定に変えていくことが大切だ。とは言え、値上げ局面でこうしたことを実行すれば、利益率を圧迫する結果になりがちだ。原資をどこに求めるかということも明確にしなければいけない。当社は10月から2月にかけて、加工食品、日配食品、リカーの仕入れシナジーの見直しを実行した。DC在庫の見直しや在庫回転率を高める、といった取り組みの強化などにより原資を確保していく。

付加価値商品も拡大していく。メーカー20数社と協業し、新たなカテゴリーの訴求を強化しようという取り組みがこれからスタートする。これまでのメーカー各社との取り組みでは、加工食品と日配とか、加工食品と生鮮とか、部門混合の取り組みができにくかった。部門の枠を取り払いながら新たなカテゴリーとして商品を集約することでお客様に価値を提供していく。大きなシナジーを得るため、事業会社3社(マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東)の取り組みとしてスタートさせる。下期に各メーカーが持っている新商品の発売計画、企業ごとに決めている重点商品がある。それをどういう形で訴求すれば、より大きな効果が得られるか、といったことを協議しながら、新たな商品群を作っていきたい。