ハチ食品 レトルトライン増設 新商品は中・高価格帯強化

ハチ食品は6日、「中・高価格帯を強化」(高橋慎一社長)した今秋の新商品発表と、新ライン導入で生産能力を1.5倍に増強したレトルト製品専用の「駒ケ根工場」(長野県駒ケ根市)の第1工場を公開した。当日は同市の副市長など行政も参加した。

同社の工場は全国に3拠点あり、同工場がカレーやパスタソースなどのレトルトを、兵庫工場(兵庫県宍粟市)がスパイスとルウ、宍粟工場(同)がルウを主に製造している。同社売上の約5割を占める主力のレトルトは駒ケ根工場で全製品の3分の2を、残りを協力工場で生産している。

こういった体制下、レトルト製品の市場が拡大し、供給能力より需要が増した。伸長率について高橋社長は「当社のレトルト製品売上高は、直近5年の平均伸長率が5%増、今上期も3%増で推移。今後も3%の安定した成長が続くと見込んでいる」とし、現在はこれまで売上が小さかった関東地区からの受注が増えており、「生産ライン増設で安定供給」(高橋社長)を図る。

高橋社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
高橋社長
実際、家庭用商品における関東地区の売上高構成比は約2割と関西中心の西日本に比べると低いが、伸長率は二ケタ増と今後のさらなる伸長に「期待」(同)を示す。

第1工場は、既存2ラインに1ライン増設。1ライン当たりの生産能力はほぼ同じだが、既存ラインの約半分の人数で生産できるなど省人化が進んでいる。

ただ、今回の増設分も生産量は「4~5年でいっぱいになる」(同)とし、伸長している関東地区で生産・物流拠点を検討していることを明らかにした。

今秋の新商品は9月1日に8品投入。レトルトのカレー4品、ドリアソース2品、スープ1品と、フレークタイプの洋風だし1品でいずれも価値訴求の商品。

カレーは旅行情報誌「るるぶ」とコラボしたシリーズを4品発売し、既存4品と合わせて8品に拡充。今回は「神戸」「広島」「博多」「鹿児島」を発売した。「鹿児島」は黒豚カレーで、地域の特産品に合うようカレー粉はそれぞれ20種以上のスパイスを独自に調合するなど、地域とハチ食品のそれぞれの強みを生かした商品に仕上がっている。

ドリアソース2品は、それぞれ牡蠣と粗挽き牛肉を使用し、贅沢感を出した。新シリーズ「Home made chef(ホームメイドシェフ)」として展開している。スープはスープセレクトシリーズの新商品「バター香るオニオンスープ」。だしは「洋風旨味だしの極み」。昨年発売した「中華の極み」に続く極みシリーズ2品目で、中華が堅調に推移していることから今後もシリーズを拡充していく。