業務用回復へ、期待と不安

秋の行楽シーズンに向けて旅行需要の回復が期待される。いよいよ10月11日からは国の全国旅行支援が開始される。これにあわせて各自治体でも独自のプランを用意し、地域経済の活性化に観光客を呼びこもうと必死だ。

▼インバウンド需要の回復に向けた動きも始まっている。政府は来月から水際対策を緩和し、入国者数の上限を撤廃、外国人観光客の個人旅行も可能になる。ワクチン3回接種などの制約はあるものの、円安も追い風にコロナ禍で激減したインバウンドの回復が待たれる。

▼各地の宿泊施設や外食店、小売店では客足増加に期待が高まっているが、その一方で人手不足が深刻化している。コロナ禍で離れたアルバイトが戻らず、受け入れ体制が整わないケースもあるという。コロナ終息後は人手不足がより顕著になり、このままでは回復の足かせになる懸念も出てきた。

▼業務用市場は長らく続いたコロナ禍の影響から回復に向けて動き始めているが、今後さらに労働人口の減少が進む中で働き手の確保・定着が大きな課題だ。売り手市場が続く中で長く安心して働ける仕事として選ばれるためには、働きやすい環境づくりと待遇改善、生産性向上の取り組みはもちろんだが、コロナを経てあらためて「人財」を資産として捉える必要がある。