地域特性生かした国産クラフトチーズに脚光 工房数は15年で3倍以上 多彩なチャレンジに沸く

飼料代や燃料費の上昇など世界的なコスト高で輸入ナチュラルチーズ(NC)の価格が高騰するなか、国産生乳を使い、地域特性を生かした個性的な国産チーズが「クラフトチーズ」として注目されている。

国産NC生産量のうち、プロセスチーズに加工されない直消用は、2012~21年までの10年間でおよそ9千500t増、12年度比で1.7倍に拡大(農水省令和3年度チーズ需給表)し、国産チーズの工房軒数は06~20年までの15年間で3倍以上(農水省牛乳乳製品課調べ)に増えた。

マース(熊本県、本田雅裕社長)は、フレッシュチーズに蜜漬けした九州産不知火の皮を散りばめた「オレンジ・ラクト」をはじめ、デザートのような国産チーズを発売。酵母の力で6か月熟成させた「森のチーズ 長熟」を発売する「チーズ工房那須の森」(栃木県、山川将弘代表)では、製造過程で出るホエイ(乳清)を煮詰めて作る「ブラウンチーズ」のプロジェクトを通して持続可能なチーズづくりに挑戦するなど、各地で多種多様なクラフトチーズが盛り上がりをみせている。