うま味で「おいしい減塩」体験 味の素が食育イベント

アジア栄養士連盟は19日から3日間、パシフィコ横浜で管理栄養士・栄養士の祭典「第8回アジア栄養士会」を開催したが、これに先立ち味の素社と慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアム、国際機関日本アセアンセンターは18日、横浜ランドマークスタジオABCクッキングで調理体験イベントとして「ウェルカム クッキング スタジオ~これからのアジアの食育を考える」を開催した。

タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアの栄養関係者を招き、アジアの一般的な食事をベースにうま味調味料を効果的に使うことで「おいしい減塩」を理解してもらおうというもので、各国の大使館館員と子どもたちがテーブルを囲んでうま味を体験した。

この中で西井孝明味の素特別顧問は、「日本を含むアジア諸国では食塩の過剰摂取が生活習慣病の一因になっている。食塩が少なくてもおいしさが実感できれば、私たちが目指しているおいしい減塩が実現できる。今日のイベントは慶應義塾大学に設立された『こども味覚力向上委員会』のキックオフイベントでもあり、子どもたちの味覚力を育てるための教育プログラムを作りたい。5つの基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)で構成される味覚を言語化して記憶することで味覚力を養い、減塩はおいしくないではなく、うま味と少しの塩味だけでとてもおいしくなることを体感してほしい」とあいさつした。

あいさつする味の素の西井特別顧問 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
あいさつする味の素の西井特別顧問
続いて慶應義塾大学の中澤仁教授が「こども味覚力向上委員会」について、おいしさと健康を科学的に学び、味覚力を上げることで未来の健康と笑顔をつくることを目的とした組織であると説明。クッキングでは、鶏ガラスープにトマトとマッシュルーム、ゴマ油、うま味調味料をそれぞれ加えて飲み比べ、うま味調味料の効果を体験した。

また、イベントに招かれた日本栄養士会の中村丁次会長は、「江戸時代まで日本人の食事は質素で50歳までしか生きられなかった。今日では栄養改善効果により平均寿命が伸び、長寿国を維持し続けている。特に効果的だったのは子どもたちに栄養教育を徹底したことで、今後も食育を強化する」と語った。最後に参加者全員で5つの味のポーズを組み合わせた5基本味食育体操を披露した。

西井特別顧問の話 アジアの食事は塩分の摂り過ぎが課題だ。うま味を上手に使えば減塩につながり、健康にも貢献できる。(食を通じた国際交流について)今回は栄養士の方々の集まりだが、これとは別に農水省や食品産業センター、食品産業中央協議会などを交え、円卓会議のような場を設け、栄養の観点からみた日本食の素晴らしさなどをアジア各国に発信していく。

黒岩卓サイエンスグループシニアマネージャーの話 ウエルビーイングとよく言われるが、その基本はおいしくて楽しい食事だ。貧しい国は食事はおいしく、楽しいと思われていない。楽しいと思わない人に栄養のことを伝えても無理がある。食べることの喜びを味覚を通して体験すれば、味わいやおいしさにつながる。