カゴメ 野菜飲料の基本価値を再訴求 「焼きケチャップ」で需要喚起

カゴメの12月期第2四半期の売上収益は前年同期比4.2%増の957億9千万円、事業利益は24.5%減の53億7千300万円、営業利益は20.1%減の55億4千800万円となり、増収ながらすべての段階で減益だった。通期の売上収益は6.5%増の2千20億円、事業利益は24.3%減の107億円、営業利益は22.9%減の108億円を見込んでいる。

売上収益は国際事業が牽引し、円安による為替の影響もあって増収だったが、原材料価格やエネルギーコストなどの高騰と、販促費投下により減益だった。

飲料(減収減益)の「野菜生活100」は、内食需要の減少で大容器が減少し、コンビニも約90%と回復が遅れ、原材料高騰と販促費の増加で減益。通販(増収減益)は「つぶより野菜」、野菜スープが堅調も、広告宣伝費は増加。食品他(増収減益)は家庭用は値上げ後のケチャップが需要減も、プラントベースは好調。業務用は外食需要の回復に伴う販売増。農事業(増収増益)の生鮮トマトは天候不順で調達量は減少したが、前年より高い市況のため増収増益。国際事業は欧米の外食回復で増収減益だった。

通期は期初予想を超える原価上昇と売上減で売上収益、事業利益を下方修正。23年度に使用する原材料価格はさらに上昇する見通しで、対応を検討する。

下期の具体的施策は「野菜をとろうキャンペーン」に注力し、野菜を摂ることに対する「意識変容」と「行動変容」を促す。飲料の「野菜生活100」は、基本価値の「食事だけでは不足しがちな野菜を、おいしく補える」ことを改めて発信。人気キャラクターを起用した大型キャンペーンを展開する。食品は米へのシフトが進むため、チキンライスやオムライス提案を強化。プラントベースフードは9月に新商品を1品追加する。

同社の山口聡社長は7月28日、オンラインで行った決算会見の中で、価格改定について次のように説明した。「春から実施したトマトケチャップの店頭での価格改定はかなり浸透した。ただし、駆け込み需要の反動や節約志向によりケチャップの売上は戻っていない。お米とケチャップは相性がよく、焼きケチャップなどにより情報発信を強化し、下期は需要を喚起する。今後の価格改定については、原価に関わるあらゆる費用が高騰しているため、野菜飲料を含めた製品の価格改定を実施する方向で検討している」。

また、「野菜生活100」における内食需要の減少については、「ビタミン訴求に切り替えたことで価値が伝わりにくかったことが原因。今秋から本来の野菜摂取の価値を訴求し、価値の伝え方を見直す」方針。業務用は「上期は行動制限が減ったためさまざまな業態で売上が回復した。特にホテルや観光地、居酒屋などが伸びたが、2019年の水準には戻っていない」と語った。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)