業務用冷食 外食復調も先行き不透明 コロナ収束後への意識も

22年度の業務用冷凍食品市場は、行動制限の解除で外食向けが急回復し、中食向けと給食向けは堅調に推移、市況としては過去2年に比べて明るさがある。ただし、7月以降はよもやの新型コロナ感染症「第7波」到来により先行きは混沌としてきた。出口の見えないコスト高への対応も難題だ。現況は厳しいながらもポジティブな要素が出てきた状態で、「環境の変化を注視しながら機動的に対応していく」(上位メーカー)ことがポイントになりそうだ。

本紙が聞き取りした主要メーカーの4~6月販売実績は大半が前年プラスで推移。うち数社は19年同期比も上回った。けん引するのは外食ルートだ。業態全体でコロナ前には約1割届かない模様だが、レストランなど一般飲食店が立ち直り、観光地のホテル向けも動き始めた。居酒屋は客足の戻りが鈍く、業態転換や深刻な人手不足で数字が一番厳しい。中食は昨年度からさらに数%上積みしている状況。量販店惣菜や弁当などでの安定した需要をベースに、「内食疲れ」の受け皿や家飲みでの利用も増加傾向とみられる。

一方、今年は3年ぶりに行動制限がない夏を迎えている。夏祭りや音楽フェスなど各種イベントが再開され、海・山などにレジャーで外出する機会も増えそうだ。感染拡大が続くコロナ禍の影響は無視できないが、外出先の飲食で業務用冷食の需要につながるケースは多々あるはずで、相応のボリュームになることが見込まれる。

下期以降を展望すると、秋の行楽シーズンや年末に向けた宴会需要を期待する声がある。「19年以前の数字には届かなくても、過去2年よりは改善するはず」(関係者)。そして、インバウンド復活を待ち望む声が非常に多い。コロナ前の状態に戻るには時間がかかりそうだが、規制が解除されれば円安を背景に外国人が大挙して来日することは間違いない。

取材では「withコロナを受け入れつつ、現在の騒動収束後を見据えた準備が重要」(メーカー営業)との声が聞かれた。今後も現場の人手不足や消費者ニーズの多様化が続く環境下、各業態で業務用冷食が求められる機会は確実に増えるだろう。「今春頃からようやく卸店の展示会が再開し、リアルの商談も活発になり始めた。われわれはユーザーの課題解決に応えることが使命。情報発信を強化しながらコミュニケーションを深め、市場の変化にも対応していきたい」(同)と意気込む。