四国化工機は、機械メーカーでありながら、包装資材の提供や豆腐などの食品製造も行う。この「機械」「包装資材」「食品」の3事業が相乗効果を発揮する三位一体システムが「当社の強み」と植田滋社長は強調する。主力の機械では、世界で数社のみが扱う成形充填機を有し、牛乳などの屋根型紙容器では同社機が国内シェア1位と、特に乳業や乳酸菌飲料の分野で技術を発揮している。今後は海外メーカーとも連携して「他社にない機械で新たな市場を開拓する」とし、調味料や清涼飲料分野に新たな技術を提案し、次の成長を目指していく。植田社長に話を聞いた。
◇ ◇
――22年3月期概況は。
植田 売上高は増収の461億円。グループでは540億円。主力3事業の「機械」「包装資材」「食品」いずれも増収だが、利益面は原材料高騰の影響で横ばいとなった。事業別売上構成比はおおむね機械が50%、残りは包装と食品が占め、ある程度の事業バランスもとれている。機械では消費者の健康志向を背景に主力の乳酸菌や乳製品が各社好調のため、新設備導入や増設需要があった。
食品製造では、豆腐の需要増に対応するため、21年春に豆腐製造の新建屋と製造ラインを導入し、生産能力は1.5倍に拡大した。また、当社の機械屋としての技術を結集させ、ほぼ無人の製造工場としている。新商品では常温で120日間保存できる「ずっとおいしい豆腐」を開発し、国内外に提案している。
――貴社の強みは。
植田 3事業それぞれの他社にない取り組みと、各事業が連携して提案できる相乗効果。例えば、牛乳などを製造する「屋根型紙容器成形充填機」は世界で5社しかなく、日本国内では当社がシェア1位をいただいている。その他、豆乳などに多いレンガ型形状の「ロールフェッド紙容器成形無菌充填機」メーカーは世界に数社しかなく、その1社が当社となる。
包装資材事業は、機械事業と連携して充填機に最も適した包装資材を企画・提案できるので、得意先から「一括してまかせておけば安心」と言っていただけるし、当社も包装資材の納入でビジネスが継続するなど、両者に利点が創出される。
食品製造は豆腐などの「さとの雪」ブランドを全国展開している。各食品企業は原料高騰への対応が大きな悩みだが、豆腐製造を自ら行うことで、機械の納入先企業と「思いを一つにできる」。さらに、製造の課題を機械や包装資材にフィードバックし、改善提案につなげていく。食品製造メーカー視点での提案は、当社が信頼いただけている一つの理由と思っている。
――今後の方針については。
植田 今期は、さまざまな原材料高騰に対する価格改定が重要と認識している。一方で、将来を見据えて新たに、調味料や清涼飲料市場に当社の技術を提案していく。
調味料向けの、充填2系統搭載で品種切替時間を大きく短縮した「LBシリーズ」は導入企業から評価いただき、6月開催の国際食品工業展で審査委員会賞を受賞した。また、清涼飲料向けは、イタリアの企業と21年秋に協業契約を締結し、ペットボトル成型充填システムを日本市場で展開していく。特徴は、ペットボトルのもととなるプリフォームを成形前に殺菌することで、省エネはもちろん、容器をさまざまな形に成形でき、薄肉化も図れる。環境課題への対応などSDGsの観点からも業界、社会に貢献する所存だ。