「機能系ビールはおいしくない」。そんなイメージに挑戦するべく、キリンビールは「一番搾り 糖質ゼロ」を中味・パッケージとも刷新。7月製造分から順次リニューアル発売する。
20年10月発売の同品は、狭義のビールとして初の機能系。「一番搾り」ブランドの価値が支持され、5月末時点で販売3億本を突破した大ヒット商品だ。
「(発売時は)かなり満足していて、目標以上に売れてうれしかった」と語るのは、同社マーケティング部中味開発グループで開発に携わった山口景平氏。
一方で「中味開発者あるあるだが、ツイッターでエゴサーチすると、半分くらいは『おいしい』と言ってくれても、あとの半分は『まずい、なんだこれ』『やっぱり糖質って大事なんだ』という悲しい声が。もっとおいしくしたいという思いがあった」。
リベンジを果たすべく、本当においしい中味を追求して生まれ変わったのが今回の「糖質ゼロ」だ。
コロナ禍を契機にした健康志向の高まりで、機能系ビール市場は19年比約12%増(インテージSRI+)。とりわけ20代で飲用意向の伸びが目立つ。だが直近では販売がやや停滞しているという。
「要因究明へ調査をした結果、私たちはその最大の要因を、現在の味覚がお客様の期待を充足できていないこととみている。味覚が『一番搾り』ブランドに求められる水準に届いていない。おいしさに一切妥協しないという30年以上大切にしてきた価値観で、本当においしい糖質ゼロビールが完成した。間違いなくキリンビールの自信作だ」。6月29日の発表会で、同社執行役員マーケティング部長の山田雄一氏は太鼓判を押した。
一番搾り麦汁を使う「一番搾り製法」はそのままに、糖を分解する酵母の働きに磨きをかけることで糖質ゼロを実現。麦芽をさらに増量するとともに、アルコール度数は従来の4%から5%にアップして飲みごたえを強化した。ホップも増量と配合変更を行い、ビールらしい香りを高めている。味覚改良のため加熱工程が追加されたことから、「生ビール」の表記はなくなっている。
350㎖缶、500㎖缶の2品。いずれもオープン価格。年間販売数量は約620万ケース(大瓶換算)を計画する。