JR大宮駅の睡眠カフェは「仮眠や睡眠の場所ではない」 では、その用途は? JR東日本とネスレ日本がコラボ

 東日本旅客鉄道(JR東日本)とネスレ日本はコラボレーションを行い、6月30日、JR大宮駅構内(埼玉県さいたま市)に新たなワークブース「STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ」(以下、睡眠カフェ)の営業を開始した。

 営業開始に先立ち取材に応じたJR東日本の中島悠輝マーケティング本部くらしづくり地方創生部門新規事業ユニット副長は「全く新しいステーションブースに挑戦する。仮眠や睡眠の場所ではなく、ワークタイムに少しコーヒーを取り入れてリラックスしていただくことを想定している」と語る。

 睡眠カフェは、通常2人用のブースを1人で利用できる。

 コンセントほか、コーヒーマシンとウォーターサーバーを結合させた一体型マシン「AQUA WITH / ネスカフェ ドルチェ グスト ジェニオ アイ」と「ドルチェ グスト」の専用カプセルを設備し何杯でも飲めるようになっている。

 利用料金は15分で税込330円。

コーヒーマシンとウォーターサーバーを結合させた一体型マシン「AQUA WITH / ネスカフェ ドルチェ グスト ジェニオ アイ」と「ドルチェ グスト」の専用カプセルを設備 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
コーヒーマシンとウォーターサーバーを結合させた一体型マシン「AQUA WITH / ネスカフェ ドルチェ グスト ジェニオ アイ」と「ドルチェ グスト」の専用カプセルを設備

 椅子はリクライニング機能付きのレザーチェアをしつらえている。その心地よさから仮に眠ってしまったり、仕事に集中し過ぎて時が経つのを忘れてしまう利用客を想定して利用終了時間5分前に退出アラームが鳴るようになっている。

 利用時間延長は、その後の予約がなく、STATION WORKの会員であれば、その場で手続きができるようになっている。

 JR東日本の狙いは、多様化するワークスタイルへの対応にある。

 「駅はこれまでの移動のための場所から集う場所に変わってきている。飲食・ショッピングできる駅ナカで、働くという新しい価値を提供すべくワークブースを展開している。今回、ネスレ日本様とコラボすることで、働く時間の過ごし方の中にコーヒーを飲んで一息つくという新しい価値がのせられる」と期待を寄せる。

 JR東日本は2019年にSTATION WORK事業を開始し、現在約500か所でワークブースを展開し利用者は増加傾向にあるという。

通常のワークブース「STATION BOOTH」と並ぶようにある「STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ」(左) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
通常のワークブース「STATION BOOTH」と並ぶようにある「STATION BOOTH supported by ネスカフェ 睡眠カフェ」(左)

 「コロナ禍でテレワークが一般化する中、ご家庭でお仕事できる場所がない方や移動の合間に適切なWEB会議ができる場所を求める方が非常に増え、首都圏のブースは日中の平日、予約が取れないブースが出てきている」と説明する。

 この傾向を受けJR大宮駅には9台のワークブースを増設。全体では「23年までに1000か所に広げる計画がある」と意欲をのぞかせる。

 一方、ネスレ日本としては、「ドルチェ グスト」のアピールやパフォーマンス向上につながるものとしてカフェインを含む淹れたてコーヒーを飲んでから仮眠する「コーヒーナップ」と呼ばれる仮眠スタイルを啓発していく。

 睡眠カフェには、QRコードを設けて、そこから睡眠やコーヒーナップに関する情報が得られるようになっている。

睡眠やコーヒーナップの情報が得られるQRコード。仮眠や睡眠の場所ではないことも記されている。 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
睡眠やコーヒーナップの情報が得られるQRコード。仮眠や睡眠の場所ではないことも記されている。

 コーヒーナップとは、15分程度の短い仮眠の前にカフェインを含むコーヒーを飲む仮眠スタイル。

 カフェインが体内に吸収されるのは、コーヒーを飲用してから約15分後とされることから、その短い仮眠の前にコーヒーを飲むことにより、ちょうど起きた頃にカフェインでシャキッとし、その後のパフォーマンスに役立つと言われている。

 「15分単位で利用していただくことで、よりたくさんの方々に伝えていきたい」(ネスレ日本)と述べる。