「歩く旅」楽しむ1万kmの道 「JAPAN TRAIL」実現へ 安藤スポーツ・食文化振興財団が後援

安藤スポーツ・食文化振興財団が後援する日本最長で全長約1万㎞の「JAPAN TRAIL」構想がこのほど始動した。提唱者は日本ロングトレイル協会内のJAPAN TRAIL提唱委員会。16日に記者会見を行った財団の安藤宏基理事長(日清食品ホールディングス社長・CEO)は「最初に構想を聞いたのは約5年前だが、国内に多く存在している魅力的なロングトレイルを一本につなげることは大変素晴らしいと感じた。今後も中長期的に支援させていただきたい」などと語った。

ロングトレイルとは、「歩く旅」を楽しむために造られた道のこと。登頂を目的とする登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道などを歩きながら、豊かな自然体験とあわせて地域の文化・歴史を学ぶことができる。欧州など海外ではハイキングとして広く親しまれているという。

「JAPAN TRAIL」構想のルートは、全国約30のロングトレイル運営団体による長距離自然歩道、登山道、散策路などを沖縄から北海道までつなぎ、整備中を含め全長約1万㎞とした。うち約5千㎞の行程が確認済みで、残りは利用者や関係者の意見を参考にしながら精度などを高め、約5年後の完成を想定する。テーマは「JAPAN TRAILに立てば日本が見えてくる」。すべてのトレイルを踏破するには早くても3年以上かかるという。

安藤理事長は「財団の理念である国民の健康や青少年の健全な育成に貢献できる」との想いから後援を決めた。当面は、国内外への情報発信(メディア発信、WEBサイト)、啓蒙・教育(安全対策・トレイル運用~セミナー・シンポジウム~)、トレイル支援(安全で美しいトレイルの維持整備)、デジタルツール(アプリ制作によるGPSナビ、マップ、歩行履歴の支援)などを計画する。

今後について日本ロングトレイル協会の中村達代表理事は「コロナ禍もあって国民の自然志向や健康志向が高まっている。(欧米のように長期休暇を取るなど)将来的に日本人のライフスタイルが変容していけばロングトレイルの浸透にも追い風になる。インバウンドが回復した際には大きなコンテンツになり得る」と期待を寄せた。

会見の12日前に霧ヶ峰にある八島ヶ原湿原を約3時間かけて歩いたという安藤理事長は「想像以上に起伏があるコースで靴ずれや爪割れを起こし大変だったが、登りつめて眺望した日本アルプスの絶景は本当に素晴らしく、心身とも健康作りに有益であることを実感した。各地のロングトレイルを体験すれば新しい発見を探し当てることができるだろう」と実体験を交えたエピソードを披露した。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)