価値に見合った価格

価格改定(6月1日)の影響が注目された即席麺業界だが、今回目立った動きは出なかった。社会全体を襲う価格改定の大波に埋没した感はあるが、問題は価格改定が今回だけでは済みそうもない点。

▼主原料小麦は昨年10月、今年4月と2度大幅に引き上げられたが、今年10月も大幅な引き上げが確実だ。即席麺に限らず原材料価格高騰を受けた価格改定が続き生活防衛意識を刺激する見通し。

▼日本チェーンストア協会の三枝富博会長は「お客様は『安さ』『お値打ち』『お値ごろ』『納得感』『価値』など、多面的な要素を総合的にみて判断される。給与が上がらない中で物価が上がることで生活防衛的なものが強くなるが、一律に『価格が上がると困る』というだけの話ではない。お客様の考える適正価格とは何か、そういう視点が必要」と指摘する。

▼消費者の選択眼は厳しくなりそうだが、商品価格には理由がある。もともとコストパフォーマンスが高く、価格以上の価値を提供し続けてきた即席麺にとっては、価値に見合った価格を実現する好機とも言えるかもしれない。