外国人観光客受け入れ再開 インバウンド需要再燃に期待

10日、新型コロナの水際対策で制限していた外国人観光客の入国が再開された。

まずは98の国と地域の添乗員付きのツアー客を入国対象し限定的だが、外食や土産物などによるインバウンド需要の復活に向けて期待が高まっている。

「インバウンドがコロナ前の高い水準まで戻るには、まだ時間がかかる」(松屋銀座店)とる向きもあるが、2年間閉ざされてきたマーケットだけに、今回の外国人観光客の受け入れによってインバウンド復活の兆しをつかみたいところだ。

インバウンド消費は2011年からコロナ前まで右肩上がりで増加した。

観光庁調べによると、コロナ前の2019年の訪日外国人旅行消費(インバウンド消費)は4.8兆円にのぼり、旅行者数は約3000万人に達したと言う。当時は購入単価が高いカメラや時計、電気製品、化粧品などが多かったが、購入率では菓子類が60%以上を占めた。

菓子類の象徴ともいえるネスレ日本の「キットカット」は、ピーク時にスーパーや空港で爆買いが散見され、抹茶味のチョコレートは抹茶ブームの引き金になった。国際線の旅客ターミナルには和カフェも登場し、中国人客を中心に長蛇の列ができた。

今回の外国人観光客の受け入れ再開により、インバウンド消費が一気に復活することは考えにくい。ただ爆買いには至らないものの、旅行業や外食業を含めて国内景気を押し上げるきっかけになることは確かだ。

味の素の藤江太郎社長は「コロナによる規制緩和が進み、6、7月にはリベンジ消費が生まれ、インバウンドも一挙に爆発することは間違いない」と期待している。

外食需要の高まりも注目されている。

今年4月の外食市場は5か月連続で前年同月超えとなり、前年同月比152.9%に達した。全業態がプラスとなり、特に居酒屋や和食料理店が急増。インバウンドが期待できるラーメン店の売上も規制緩和により上昇基調で推移している。

全国の空港で茶専門店やタリーズ、和カフェなどを展開している伊藤園は、「訪日客の多くが空港でお土産を買って帰る。空港が賑わいだしたらインバウンド需要が戻ってくる証拠だ」(本庄大介社長)とし、空港での売れ行きをインバウンド需要のバロメーターにしている。

緑茶や紅茶のティーバッグ製品のほか、「松屋銀座店横に設置しているミネラルウォーター・エビアン専用の自販機が人気」など意外な動きもある。

観光地の土産物店は菓子類の土産が多く、コロナ禍では菓子用の砂糖需要が大きな影響を受けた。観光地に外国人客が戻れば、土産需要の復活もありそうと砂糖業界は期待している。デパートでの外国人も次第に増えてきた。松屋銀座店では「インバウンド需要が一気に戻るかどうかは分からないが、外国の方がかなり戻ってきたという印象をもっており、継続して戻ることに期待している」と言う。

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