レモンの“次”はこれ!「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」 二番手に着目、好発進

缶チューハイ界の万年“準”主役が、ついに主役に躍り出た。サッポロビールが5月24日に発売した「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」がスタートダッシュから快走をみせている。発売から1週間で早くも960万本(250㎖×24本換算)を出荷した。

「ワン・オブ・ゼムをオンリー・ワンに」

成長が続く近年のRTD市場では、レモンフレーバー商品の開発競争が過熱。レモンサワーがひしめく売場で、レモンの魅力をさらに深堀りして他ブランドとの違いを際立たせることに各社とも躍起だ。そんな過当競争を一歩抜け出し、「グレープフルーツサワー専門ブランド」というブルーオーシャンに飛び込んだ。

「ここ数年はレモンサワーブームが過熱。新規参入や高付加価値系の投入が相次ぎ、当社も『濃いめのレモンサワー』を発売するなどブランドの専門化が進んでいた。一方でグレフルは不動の2位フレーバーでありながら、あくまでも『ワン・オブ・ゼム』の扱い。着目されてこなかった」。

躍進に息切れが見え始めたレモンフレーバーに代わり、「オンリー・ワン」のグレフルサワー専門ブランドで一層のRTD市場活性化を図る――開発の狙いを、同社ビール&RTD事業部の曲悠真氏は説明する。

さわやかな甘酸っぱさとほのかな苦みの〈贅沢ホワイト〉、芳醇な香りと控えめな酸味、上品な甘さの〈芳醇ピンク〉の2品。果実をほおばったときの味わいをベンチマークに、にごり果汁と果皮でグレフルの良さを引き出した。青とピンクのパッケージとともに、試行錯誤を繰り返して完成した自信作だ。グレフルのひと味違った特徴を引き出した限定品も画策中という。

同社ブランドでは度数9%のRTD「99.99(フォーナイン)」でもグレフルフレーバーを展開するが、今回の商品は5%。自宅でゆっくりお酒を楽しみたいという昨今の消費者意識に応え、グレフルの味わいを存分に楽しめる度数帯とした。レモンサワーユーザーの流入も狙い、年間140万ケース(250㎖換算)の販売を計画する。

参考小売価格は350㎖缶150円、500㎖缶210円と、RTD市場で開拓が進みつつある中~高価格帯を狙う。「ビールジャンルからの流入が進むことで、どうしてもお酒の買上単価は落ちる。そうした流通の課題解決にも貢献できる商品だと思う」(曲氏)。

グレフルサワーを愛する男「グレ沢」

発売後、SNSでは「果実感が他の酒とケタが違う!」「圧倒的ジューシーさ」「グレープフルーツサワーで一番好きかも」といった好意的な反応が飛び交い、まずは狙い通り。これを加速させるコミュニケーションには、これまでにないブランドにふさわしい遊び心を取り入れた。

俳優の川島海荷さんとともにCMに起用したのは、新キャラクター「グレ沢」。グレフルサワーに深い愛情をそそぎ、ようやくたどり着いた三ツ星レシピで専門店をオープンしたとの設定だ。TVのほか、WebCMでも商品の魅力を紹介。「レモンサワーのイェーイ!みたいなノリがあんまり得意じゃなくてね」というシャイなグレ沢さんだが、「でもそういうノリについていきたい!という気持ちはあるんだ」と内なる情熱を燃やす。今後、SNSや消費者キャンペーンで活躍をみせそうだ。

「これを機にグレフルにもチャンスがあるとみて他社が参入してくれれば、市場もさらに盛り上がると期待している」と意気込む曲氏。

「すべてのグレフルファンを満足させるべく開発した。まずはグレフルラヴァーの方々に試していただきたい。そしてレモン一辺倒の市場に一石、いちグレフルを投じたい」。