伊藤園は10日、富士通とともにAIによる画像解析に基づく、茶葉の最適な摘採時期が判断できる技術を共同開発したと発表した。摘採前にスマートフォンで茶葉を撮影する簡便な仕組みが特徴で、高品質な茶の安定生産を支援する。全国で展開する茶産地育成事業の契約産地で試験運用を始め、23年の新茶シーズンから本格展開を目指す。
新技術は、伊藤園が長年培った茶栽培に関する知見と富士通側の画像解析技術などを組み合わせた画像認識アルゴリズムにより、撮影した画像をクラウド上でAI解析する仕組み。茶葉に含まれる旨味にかかわるアミノ酸量や、生育具合の指標となる繊維量が推定でき、最適な摘採時期の判断に役立ててもらう。
約2年かけて契約産地の一部で撮影した約4千枚の茶葉の画像をもとに、さまざまな天候状況を加味し色味調整などの加工を施した計8千500枚の画像を使い、AI学習を実施。今季は現場実証を行い、画像判断の正確性や実用性を確かめる。
茶の摘採時期は一般的に、ベテラン生産者の経験が頼りにされるほか、茶葉の一部を使った専用機器による分析などを踏まえ判断される。ベストな摘採タイミングを逃すと、茶葉の硬化など品質低下を招くため、生育状況の見極めが重要になる。伊藤園は新技術の普及を通じて若手や新規の生産者を支援し、国内茶業の生産力強化と持続可能性の両立を後押しする。