コロナ禍2年目となった22年2月期のコンビニ各社決算。前期に大きく落ち込んだ客数の改善が進まず、回復への足取りには遅れがみられた。店舗の使われ方が様変わりするなか、業界では新しい環境に対応した店づくりを急ぐ。
「(コンビニは)人流によって売上が構成される割合が他業態と比べて多く、コロナで人流が制限され苦戦した。皆さんリモートに慣れてきたので、今後も続くと考えられる。お店の在り方を変え、目的買いで来ていただけるお店にしなければならない」(セブン―イレブン・ジャパン 永松文彦社長)。
各社の既存店客数をみると、1割前後落ち込んだ前期の水準に満たなかった社が大半となっている。客単価は堅調を維持したことで既存店売上高はおおむね前年実績をクリアしたものの、コロナ前の水準には至っていない。
外出先での立ち寄り利用ニーズにフォーカスした戦略で成長してきたコンビニ業態は、「買物をするために出かけるお店」としてはスーパーの後塵を拝してきた。喫緊の課題である客数回復へ、「目的買い」の利用客を増やすことに各社は躍起だ。
ローソンでは冷凍リーチインや平台の拡充による冷食の品ぞろえ充実、デザートや日配のラウンド型ケース導入など、21年度は約4千300店で売場改装を実施。プラス5%程度の日販改善効果がみられた。店内厨房の導入拡大、デリバリーサービスの拡充やゴーストレストラン開始など攻勢を強める。
「われわれがスーパーに代わって選ばれる小売になる。『月曜から金曜まで、忙しいときは朝昼晩ローソンでいいね』と言っていただけるような品ぞろえへ、冷凍食品や惣菜を拡充。そしてデリバリー、ゴーストレストランも展開。今の時代に合う新しい便利にチャレンジする」(竹増貞信社長)。
ファミリーマートは「クリスピーチキン」などヒット商品に恵まれ、単月日販は天候不順の8月を除きプラスで推移。通期の客数では主要チェーン中で唯一前年を上回った。「当たり前のことをきちんとやることが結果につながることを再認識した」(浦島宣哉常務)。
同社では旧サークルKサンクスからの転換店の契約更新がピークを迎えるのに合わせ、今期の設備投資費用をほぼ倍増。このうち4割は店舗の改装に充てる。
「21年度は、毎日の食事を購入する際の目的地となる店舗『ディスティネーションストア』を目指した」(藤本明裕社長)というミニストップでは、商品改革を実行した弁当や店内調理惣菜が前期実績を上回るなど成果がみられた。ただ全体の売上は思うように伸びず、前期に引き続き営業損失を計上した。
原料価格高騰や急激な円安が調達コストに影響を及ぼすなか、コンビニでも値上げの動きが始まった。客離れや購買意欲の低下を抑えるための取り組みにも追われる。下期に向けて、コロナ後の変化も見据えながらの難しいかじ取りを迫られそうだ。