「い・ろ・は・す」50・60代からも支持されるようになった理由 天然水カテゴリーならではの動きに着目して店頭活動強化

 コカ・コーラシステムのナチュラルミネラルウォーターブランド「い・ろ・は・す」は昨年、全体で2ケタ増の販売数量を記録した。

 「い・ろ・は・す天然水」で、ミネラルウォーター(天然水)の本質的な価値を伝える活動に注力して家庭内需要を掘り起こしたほか、人流回復に伴い外飲み需要を徐々に取り戻し回復傾向にある。

 若年層を中心に支持を集める「い・ろ・は・す」だが、昨年の特筆すべき動きとしては、50・60代からの支持も多く集めた。その理由について、日本コカ・コーラの朴英俊マーケティング本部ウォーター事業部部長は、家庭内需要の増加を受けて「い・ろ・は・す天然水」でこれまで手薄だった大容量の2LPETを押し出した結果も要因だと指摘する。

日本コカ・コーラの朴英俊マーケティング本部ウォーター事業部部長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
日本コカ・コーラの朴英俊マーケティング本部ウォーター事業部部長

 「特にスーパー・量販店チャネルでは、白を基調としたカートン(ケース)を採用し陳列を強化するなどして2Lを通じて天然水の品質訴求を行ったところ、品質に敏感な50・60代のお客様の獲得につながった」と振り返る。

 2Lの押し出しが555mlなど小容量に波及する動きもみられ、これは天然水カテゴリーならではの動きと分析する。

 「一般的には小型で馴染んでいただいてから大型にいくが、天然水カテゴリーは炊飯や料理に使われるといった生活水の需要もあり、大型でよさを実感していただいてからパーソナルユースで飲み歩く小型も大型と同じブランドを選ぼうという逆の動きもあるとみている。『い・ろ・は・す天然水』では50・60代の小型の飲用率も伸長したこともあり、大型から入ってくれた可能性は高い」との見方を示す。

 50・60代のトライアル獲得にはプロモーションも奏功した。

二次元コードを記載し2月28日までキャンペーンを展開していた2Lケース - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
二次元コードを記載し2月28日までキャンペーンを展開していた2Lケース

 昨年は、2LPETのケースに記載している二次元コードから応募すると、6つの採水地の自然が育んだ6種類各1kg(計6kg)のお米が当たるキャンペーンを実施したところ「50・60代のご購入のきっかけの1つになった。見た目は派手ではないかもしれないが、暮らしに役立つもの好評をいただいた」という。

 このような手応えを受け、今年の方針は「エコやサスティナブルといった『い・ろ・は・す』がもともと持っていた価値にプラスして、天然水の品質訴求を続けていく。特に店頭訴求がこのカテゴリーでは非常に大事だと改め実感したため、注力していく」。

 店頭販促は5月下旬から予定。「買えば買うほどメリットを感じていただけるマイレージ型の消費者キャンペーンを考えている」という。

 環境や先進的といったブランドイメージとしては、「い・ろ・は・す天然水ラベルレス」(560mlPET)に期待を寄せる。

 「うねりのある新形状の専用容器を採用したところブランドイメージが物凄く上がったため、ブランドイメージに貢献できるものとしてできる限り打ち出していきたい。現在はEC専用で一部の売場で4本マルチパックをテスト展開したところ手応えがあったため、展 開規模の拡大を検討していきたい」と述べる。

「い・ろ・は・す天然水ラベルレス」(560mlPET) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「い・ろ・は・す天然水ラベルレス」(560mlPET)

 20年から100%リサイクルペット素材についても「ブランドに対する好意度を上げていく非常に大きな要因になっている」とみている。

 中長期的にはブランドのさらなる進化を目指す。

 「09年に登場して以来、エコのブランドとして育てていただいたが、今後はどのような価値を提供できるかをきちんと見据えていく。ある程度新しいことをやっていく必要もある。今年は飛躍を始めるための年と位置付けている」。

 全国清涼飲料連合会の「2021年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によるとミネラルウォーター類は21年、生産量が前年比8.1%増の415万4300kl、生産者販売金額が8.5%増の3319億2500万円を記録した。

 「飲用者自体はさほど増えておらず、恐らく飲用頻度や飲用量が増えているのが成長要因で家庭内需要が大きいと思っている」と分析している。

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