国産ナチュラルチーズの開発加速へ「十勝チーズ研究センター」開設 明治

株式会社明治はこのほど、同社十勝工場(北海道河西郡芽室町)敷地内にナチュラルチーズ(以下、NC)の新研究拠点となる「十勝チーズ研究センター」を開設した。4月26日、同センターの川端史郎センター長が会見し、センターの概要や設置の目的などについて明らかにした。

同社は現在、「明治イノベーションセンター」(東京都八王子市)で商品の研究開発を行っているが、NCの研究開発機能の一部を同センターに移管することで、十勝の生乳を用いた商品の開発から生産までのスピードアップを図るとともに、地域の連携を深め「明治北海道十勝」ブランドを強化する狙い。

新センターの投資額は7億6千万円。センター内にはチーズ試作室、チーズ熟成室、理化学実験室、微生物実験室などを配置した。研究員4人と研究補助2人の計6人体制でスタート。明治イノベーションセンターは今後、基盤研究に集中させる。

「NCの品質は用いる原料乳により大きく左右される」(川端センター長)というように、同センター設置の最大のメリットは「商品開発のスタート時点から新鮮、高品質な十勝の生乳を使用できる」という点。また、研究機能を生産工場内に設置することで開発と生産の距離を縮め、商品化までのスピードアップにつなげ、「カマンベール」「スマートチーズ」「生モッツァレラ」などに続くヒット商品の開発を目指す。

また同社は2019年、十勝の産業振興に取り組む「フードバレーとかち推進協議会」と連携し、十勝産生乳から分離した乳酸菌を用いたヨーグルトの生産・販売を実現するなど十勝の地域振興に貢献している。今回のセンター開設で今後、チーズ分野でも生産者と一体となり、十勝の活性化に取り組む考えだ。

「明治北海道十勝」ブランド(全36品、うちチーズ34品、うちNC11品)は今年発売30周年を迎える。これを記念し、5月から30周年のロゴ付きパッケージ商品を発売するほか、増量、復刻版、限定商品なども発売。下期には「ありがとかち」キャンペーンも展開し、「明治北海道十勝」ブランドを盛り上げる。