ハウス食品は、「カレーのハウス」と「スパイスのギャバン」が共同開発したカレーパウダー「GABANカレーパウダー」〈PROFESSIONAL BLEND〉を2月14日から首都圏エリアで新発売した。スパイスの奥深い香りとコクを引き出したことが特徴。約10年の研究と高いスパイス加工技術の結晶として誕生した新しいカレーパウダーの提案に乗り出した。
カレーパウダーは複数のスパイスやハーブを配合した調味料。ルウカレーにもそれぞれの味づくりの元になるカレーパウダーがあり、ハウス食品のカレーパウダーは子どもでも食べられるおだやかでまろやかなカレーを作るのに最適な風味が特徴だ。
これに対し、同社には約40年前から加熱しないでも香りや風味が強いカレーパウダーを作りたいとの思いがあった。香りや風味が強いカレーパウダーがあると、新しいカレー製品を開発する時にワインなどの風味が強い原材料を使いやすくなり、カレー製品の世界を広げられるためだ。
研究をスタートさせたのは2009年頃。100種類以上のスパイスと向き合い加熱や粉砕の仕方を検証し、13年にカレーパウダーのおいしさの決め手となる「3つの香り」を発見した。「3つの香り」
①個性(スパイスが持つ個々の特徴的な香り
②膨らみ(口の中いっぱいに広がる甘くて豊潤な香り
③余韻(飲み込んだあと鼻に戻って持続する香り)
研究の中で「余韻」が重要なポイントになることが分かったという。
「3つの香り」で風味を評価する方法を確立した上で具体的な製品開発をスタートさせた。最も多くの時間がかかったのが個々のスパイスに最適な加熱条件を見つけること。多くの実験を繰り返し、官能評価に加え、香気成分の分析も行った。個々のスパイスの風味評価と、評価したスパイスを混ぜてカレーを試作する風味評価を750回以上繰り返した。
こうして約8年をかけて個々のスパイスの最適な加熱加工方法を確立した。個々のスパイスの特性に応じて加熱、焙煎方式を選定したことで、コクのある香りを引き出すことに成功し、焙煎感があり、カレーや料理にコクと深みを与えられるカレーパウダーの試作品が出来上がった。
製品化に当たっては、業界トップクラスのシェフの意見を聞きながら、フォンに負けない力強い風味でありながら香りや辛さのバランスがとれた一体感のある風味のカレーパウダーを完成させた。あえて個々のスパイスの特徴的な香りを組み合わせ、バランスの良い濃密な香りを実現させたという。
一般的な製法では、配合しているスパイスをまとめて加熱加工するが、労力や時間のかかる加熱・焙煎方式で製造していることもポイントだ。個々のスパイスの特徴に応じて最適な加熱加工を施してから、さらに全体を加工する新製法を採用した。また、ハウス食品の製法に加え、ギャバンのスパイス加工技術を取り入れることで、今までにない製造方法を確立したこともポイントだ。
「GABANカレーパウダー」は35g、税別希望小売価格350円。本格的な手作りカレーから普段の料理のアレンジまで幅広く使える。同社によると、口に入れて飲み込んだあとに「約3秒続く香りの余韻」が楽しめるという。
開発担当者おすすめレシピもある。欧風ビーフカレーを作る時のポイントは牛肉を炒める時にカレーパウダーをまぶすこと。肉の味わい深さが格段に上がるという。カレーパウダーで手作りカレーを作る時にクミンを加えると、クミンの風味がアップする。温めたレトルトカレーにカレーパウダーを小さじ半分くらいちょい足しすると、コクがアップするという。納豆、ポテトサラダ、ハンバーグソースへのちょい足しもおすすめだ。