ノルウェー産サーモン、迂回ルート確保急ぐ ロシア領空飛行禁止で

ウクライナ情勢の緊迫化で、ノルウェー産サーモンの供給が不安定になっている。ノルウェー水産物審議会(本社:ノルウェー・トロムソ)は9日、「ウクライナ情勢緊迫化に伴うノルウェー産サーモンの供給状況に関するお知らせ」を公表した。それによると、先月28日にロシア連邦航空局が発表したノルウェーを含む36か国に対するロシア領空の飛行機禁止措置およびロシア領空の飛行リスクを鑑みた航空会社のルート変更・欠航に伴い、ノルウェーから日本への生サーモンの空輸に影響が出ている。

ノルウェー産の生サーモンは約9割が生の状態で空輸されるが、ウクライナ情勢の緊迫化でロシア領空を経由するメーンルートでの輸送継続が困難となり、全国的に供給が不安定になっているという。

ノルウェーから日本への空輸は従来、ロシア領空を通過するメーンルートで飛行時間約10時間半、サーモンを水揚げから日本の食卓まで最短36時間で届けることが可能だった。

今後の対策として、「北極圏を経由する北回り、中東経由の南回りの迂回ルートで、飛行距離が数時間延長しても、生サーモンの鮮度や品質を保ちつつ、安定的かつ効率的な輸送を確保し、継続的な供給を実現できる協議をしている」(9日時点)。

昨年のアトランテイックサーモンの国内消費量は5万1千t。このうち、約9割がノルウェー産かつ生で空輸されたものという。

ノルウェー水産物審議会のヨハン・クアルハイム日本・韓国担当ディレクターは「日本はノルウェーサーモンにとって大変重要な市場であり、過去25年間、日本のみなさまに常に新鮮で高品質なサーモンをお楽しみいただけるよう、輸送を含む生産供給体制の向上を徹底してきた。ノルウェーの水産業界は現在の世界情勢に伴い、懸念されている日本へのノルウェー産サーモンの供給維持および強化を非常に重要視しており、航空会社や関係各社とともに持続可能な解決策を今後数週間で実現できるように最善を尽くしていく」とコメントした。