マカダミアナッツ 主産地の豪州、収穫期襲った大洪水 世界の増産基調に冷や水

ナッツ類の中でも最も高価な部類に属するマカダミアナッツ。オーストラリアが長らく主産国の座を維持してきたが、干ばつなどの異常気象を背景に10年ほど前から生産量が伸び悩み、グレープフルーツなどからの転作が進んだ南アフリカにその座を取って代わられていた。

ただこの数年で急速に回復。21年産の公式予想によれば、生産量は殻付きベースで前年比108%(5万770t)と5万tの大台を回復し、久しぶりにトップの座に返り咲いた見込み。今年も生産は順調に進み、良好な作柄が期待されていた。

ところが、収穫シーズン直前に事態は暗転。主産地であるオーストラリア東部では先月24日、百年に一度とも言われる記録的大雨に見舞われ、洪水による甚大な被害が発生。現地メディアの報道によれば、南東部のニューサウスウェールズ州では農園の多くが完全に水没し、壊滅的な被害が出ている模様だ。「質と量の面で業界に大きな損失が出るだろう」とするマカダミア生産者の報告も伝えられている(1日付「Good Fruit & Vegetables」電子版)。

オーストラリアマカダミア協会の予測では、22年の収穫量は5万4930tに達するとみられていたが、大幅な下方修正となることは必至だ。

一方、最大の需要国である中国では、ここ数年で国内の作付が急増。来年ごろから収穫が本格化する見通しだ。30年には生産量が10万tを超え、生産国としても台頭すると予想されている。これまで同国のバイヤーが豪州などの産地で殻付きマカダミアを大量に買い付けていたことが、慢性的な相場高の主因となっていた。中国の自給率向上で需給が緩和すれば、価格も落ち着いてくる可能性が高い。

中期的には世界の生産量は今後5年で倍増するとの予想もあり、より使いやすいナッツとして製品開発が進むことで市場の拡大が期待できる。ただ豪州の農園復興には長い期間がかかるとみられ、今後には不透明感が強まってきた。