コーヒー値上げの春 各社3月から実施 価値向上の動きも

 コーヒー各社が3月から値上げする。
 コーヒー生豆国際相場が高騰し高止まりに収束の兆しが見えないことが背景。今後もさらなる値上げの動きが予想される。

 味の素AGF社は3月の納品分から「ブレンディ」や「ちょっと贅沢な珈琲店」などのレギュラーコーヒー・インスタントコーヒー96品を値上げする。
 96品のうち8品は消費者の飲用実態にあわせてサイズ変更で対応する。約1ヵ月で鮮度感を保ったまま飲み切れるように、スプレードライの「ブレンディ」ブランドで160g(80杯分)を140g(70杯分)に変更、フリーズドライの「ちょっと贅沢な珈琲店」「マキシム」の両ブランドで135g(67杯分)から120g(60杯分)に変更する。

 96品平均の上げ幅は店頭価格で1杯あたり2円、1商品あたり約2割となる。

 味の素AGF社の武岡正樹常務執行役員は単純値上げではないことを強調。
 「コーヒー以外の原料も上がっており、最大限にコストインパクトを吸収すべく生産効率を追求してきたが企業努力だけでは難しい。ただし単純値上では消費が冷え込んでしまい市場に悪影響が出てしまうため、まず我々が取り組んだのはコーヒーの付加価値を高めること」と説明する。

 付加価値を高める取り組みとしては、独自の「T2ACMI(たくみ)焙煎」に磨きをかけるなどした。

 キーコーヒーも大容量のレギュラーコーヒー「グランドテイスト」の粉商品でコーヒー豆の配合や焙煎手法を見直すなどして価値向上を図りつつ内容量を従来の330gから300gに減らす実質値上げに踏み切る。300gの新「グランドテイスト」を3月1日に新発売する。

 キーコーヒーの田中正登志R&Dグループグループリーダーは「原料価格や資材、様々なものがコーヒーのみならず原価が上がってきている中で、我々としては品質を守り、おいしいものをしっかりとご提供していきたいといような想いもあり、一定程度の価格についてお客様にご負担いただくという決断をした」と語る。

 ネスレ日本は「ネスカフェ ゴールドブレンド」シリーズの詰め替え用製品エコ&システムパックを減量値上げする。希望小売価格を変更せずに、3月1日出荷分から65gを55gに、105gを95gに変更する。

 コーヒー生豆国際相場の高騰要因は、世界最大のコーヒー生産国ブラジルの大幅な減産予測と米国・欧州の経済活動再開に伴うコーヒー消費量の増加にある。
 コーヒー生豆相場は昨年7月にブラジルのコーヒーベルトで霜害(降霜)が発生しコーヒーノキを直撃したことが大きく影響して年初も高止まりを続け、直近では1年前の2倍以上となる1ポンド240セント前後の高値で推移している。

 なお昨年は、UCC上島珈琲、味の素AGF社、キーコーヒーが9月あるいは10月からの値上げに踏み切きった。これに続き今年1月1日には、ネスレ日本が「ネスカフェ ゴールドブレンド」「ネスカフェ エクセラ」「スターバックス」など家庭用の主力コーヒー製品と業務用コーヒー製品を値上げした。