新時代の“香る和酒” 若年層つかみ日本酒・焼酎活性化へ 宝酒造

日本酒、焼酎の消費量の減少が続くなか、宝酒造では新たなトレンドを採り入れ、これまで日本酒や焼酎に馴染みのなかった層や若年層を呼び込もうと、新たに「香り」に注目した和酒2品を22日から全国発売する。

コロナ禍で生活様式は大きく変化して、食や酒類においても新たなトレンドやニーズが生まれている。和酒市場については、若年層や新規ユーザー流入と香り系和酒が伸びる傾向がある。

同社の山内徹常務執行役員商品開発育成研究部門副担当は1日に行われた発表会の席上、「家飲みや食中酒の増加により、若年層の日本酒・本格焼酎の飲用頻度や量が増加。味わいでは酒類全体で、リラックスして楽しめるようなフルーティーな香りが多くのカテゴリーで伸長している」と説明。

タイプ別では「日本酒は吟醸酒やフルーティーな風味の日本酒が伸長。特に若年層ほどこれらの人気が高く、ほかのカテゴリーからの流入が見られる。一方の焼酎では、香りを訴求した本格焼酎が伸び、若年層を中心に食中、食後と飲まれている。またスッキリ飲める炭酸割りの飲用が多く、既存の芋焼酎以外にビールやチューハイ類などからの流入もある」と分析している。

山内徹常務(宝酒造) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
山内徹常務(宝酒造)

同社ではこうした新たなトレンドを市場活性化のチャンスととらえ、香りが特徴的な日本酒、焼酎を開発。「どちらも当社の技術を結集し、現状の和酒市場を牽引できる商品」(同)と自信をのぞかせる。

日本酒の新商品「松竹梅『昴(すばる)』」は、同社独自に開発した香り生成酵母を用いて、通常の吟醸酒と比べて2倍以上の香り成分を生成することで、さわやかでフルーティーな香りを実現した。すっきりとした後味で和食はもちろん、ビーフシチューやチーズなど洋食とも合う。ALC14~15度、容量/価格=1.8Lパック/1千248円、900㎖パック/698円。

全量芋焼酎「ISAINA(イサイナ)」は、同社独自の「かおり酵母」と麹まで芋の全量芋仕込みを組み合わせることにより、飲み方で香りが変わる焼酎を実現。ロックでは焼き芋のような甘い香りがたち、炭酸割りでは瑞々しいりんごのような香りになる。高級感がありシンプルなデザインも特徴的だ。25%、1千280円。