「食事に合うジン」を 100億円目指し需要創出 初心者に響く「翠」缶で登場 サントリースピリッツ

ハイボールがすっかり家飲みの定番となったウイスキーなどと比べると、日本ではまだ市場拡大の余地が大きいとみられるスピリッツがジンだ。

「翠(SUI)」「ROKU(六)」の国産2ブランドで市場をけん引するサントリースピリッツ。同社の国産ジンは売上前年比203%、30億円と躍進したことで、昨年の市場では輸入ジンを国産品が上回り逆転した。

ハイボールやレモンサワーのようにジンをソーダで割って楽しむ「第3のソーダ割り」として食中酒需要の創出に取り組み、24年に国産ジン売上高100億円を目指す。

とりわけ1本1千円台で気軽に買える「翠」は、若年男女のトライアルを獲得。購入者のうち、初めてジンを飲むユーザーが8割弱を占めたという。取り扱い小売店も昨年は3倍以上に増えたほか、飲食店向けの業務用も急拡大を続ける。

新たに缶も加わる「翠」(サントリースピリッツ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
新たに缶も加わる「翠」(サントリースピリッツ)

今年の目玉はRTD「翠ジンソーダ缶」(350㎖175円/500㎖237円/度数7%)。ジンの伝統ボタニカル8種のほか柚子・緑茶・生姜という3種の和素材を組み合わせ、日本の食事に合う「翠」の味わいを缶で気軽に楽しめる。2月15日にコンビニ先行発売。3月22日から全国で発売する。

中身は「翠」を缶専用にアレンジ。和素材を漬け込んだ浸漬酒のほか柚子の蒸留酒も配合した。

「缶はソーダで割って時間が経ったものを飲むので、香りの強さが多少変わる。とくに柚子の最初の香り立ちにはどうしても大きな違いがある。割りたてのおいしさを缶でもお楽しみいただくため、香味バランスを作りたてのものに合わせた」(執行役員商品開発研究部長・村上悦郎氏)。

初年度150万ケースの販売を計画。「非常に大きな目標だが、自信をもってお届けする商品。おいしさをもっと手軽に体験していただき、第3のソーダ割りとしての地位を確立したい」(神田秀樹社長)と意気込む。

国産プレミアムジン「ROKU」は60か国以上で展開中。高価格帯ジンで世界2位のブランドへと成長した。業務用は和食業態やバーなどにターゲットを絞り、顧客との接点作りを進める。

独特のクセがあるためトニックウォーターで割って飲まれることが多いジンだが「『ROKU』開発に当たり、さまざまな素材を従来のジンと合わせる作業をした過程で、ソーダ割りでも十分食事に合うジンが作れると気づいた。その要素をぎゅっと取り出して作ったのが『翠』だ」(村上氏)。

「翠」も4月からアジア向けの輸出開始を予定する。「ジャパニーズ・ジン」の存在感が高まりそうだ。