「氷結 無糖レモン」に度数9% トレンドは低アルの今なぜ? あえて投入のねらいは

酒類市場でも、缶チューハイなどのRTDカテゴリーはこの数年で大きく躍進。キリンビールでは、ビール類で最大のボリュームを占める新ジャンル(第3のビール)の市場規模をRTDが今年中に上回り、17~27年の10年間ではほぼ倍増すると予測している。

同社マーケティング本部でRTDを担当する鈴木郁真氏は「ビール類ユーザーの流入が大きく影響しており、昨年は他カテゴリーからRTDへの流入のうちビール類からが83%。コロナ禍と酒税改正で大きな変化が起こっている」と説明する。

発売20年になる「キリン 氷結」ブランドでも、甘くない爽快なおいしさでビール類ユーザーにも支持されるのが「氷結 無糖レモン」だ。同社が過去10年に発売したRTD368品の中で、出荷2億本を最速で突破した大ヒット商品だ。

今回、度数4%、7%の既存品に加え、9%を2月1日から発売。3つの度数帯がそろう。

ただ一昨年ごろにかけてピークを迎えた度数9%以上の高アルRTDのブームも昨年には下火となり、コロナ下での健康志向を背景に市場トレンドは7%以下の低~中アル帯にシフト。各社から投入が相次ぐ微アルやノンアル商品が急速に拡大するなど、市場の潮目には変化がみられる。

料理とのペアリングを提案。食中酒需要の獲得をねらう(氷結 無糖レモン Alc.9%) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
料理とのペアリングを提案。食中酒需要の獲得をねらう(氷結 無糖レモン Alc.9%)

なぜこのタイミングで「9%」なのか。24日の発表会でも、この点に質問が集中した。「(インテージ調査では)RTDユーザーのうち『9%』の飲用者は23.5%。『9%』しか飲まないお客様もいて、棲み分けがあることが分かった」(同社マスターブリュワー・田山智広氏)。

度数ごとに購入層の重なりは限定的で、それぞれに異なる価値が期待されているとみられる。果汁感の「4%」、キレやドライな味の「7%」に対し、「9%」に求められるのは「酒感・酔い」だという。

一方で従来の「甘くないチューハイ」はストイックな味覚設計の商品が多く、「爽快なおいしさ」へのニーズとのミスマッチが起きていたと同社はみている。

今回発売する「氷結 無糖レモン Alc.9%」(350㎖/500㎖、オープン価格)は、高めの度数による満足感ある飲みごたえと飲みやすさを両立。ブランドの中核価値である「爽快なおいしさ」を広げる。

「4%と7%のミドル帯でしっかりと柱を作った。これが浸透したことも踏まえ、さらにご期待に沿えるようラインアップを拡大する」(鈴木氏)。

ビール類ユーザーが求める「甘くない味わい」との相性が良い、しっかりした味付けの料理とのペアリングを提案。食中酒として一層の需要獲得を目指す。