2021年の小売市場の概況がまとまった。各業態とも引き続きコロナ禍の影響を受けるなか、前年の反動から総合スーパー系各社の実績を含むチェーンストアはプラス、食品スーパーは微減という結果に。一方、コンビニは依然として本格回復には至らなかった。
チェーンストア 3.6%増、食品が堅調
日本チェーンストア協会が発表した2021年(1-12月)のチェーンストア販売額(56社、1万1千897店)は、全店ベース3.6%増(13兆2千134億円)、既存店2.3%増と2年連続のプラスとなった。
食料品は総販売額9兆698億円、全店3.7%増(既存店1.9%増)。内訳は農産品2.7%増(同0.6%増)、畜産品1.3%増(0.7%減)、水産品4.8%増(同1.9%増)、惣菜10.3%増(8.8%増)、その他食品2.8%増(1.2%増)。10月以降、内食化需要は減少傾向にあるものの、年間を通じて食料品は堅調に推移した。特に惣菜の回復が目立った。
一方で衣料品は全店2.8%減(既存店1.9%減)。住関品は全店3.6%増(同2.9%増)。日用雑貨3.7%増(同3.6%増)は好調だったが、医薬・化粧品、家具・インテリアがマイナス。家電製品は全店9.9%増(同10.1%増)と伸長した。
食品スーパー 0.4%減 食品は10兆円大台維持
食品スーパー3団体(全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会)がまとめた、21年の年間売上高(全店ベース)は11兆6千631億円、前年比0.4%減となった。既存店ベースの売上高は同1.3%減。コロナ禍が2年目を迎え大きく伸長した前年の反動も見られたが、堅調な内食需要を反映し前年並みの実績を確保した。
食品は総売上高10兆5千562億円、前年比0.1%減(既存店1.1%減)。生鮮3品計1%減(同2.1%減)。青果1.5%減(同2.4%減)、水産0.2%増(同0.8%減)、畜産1.4%減(同2.5%減)。惣菜5.3%増(同4%増)、日配0.3%減(同1.4%減)、一般食品0.7%減(同1.5%減)。非食品4.9%減(同5.4%減)、その他2.9%減(同2.4%減)となった。
保有店舗数別では▽1~3店舗5.5%減(同5.4%減)▽4~10店舗4.8%減(同4.7%減)▽11~25店舗0.9%減(同1.4%減)▽26~50店舗0.8%減(同1.6%減)▽51店舗以上前年並み(同1%減)。なお集計企業数は270社。
コンビニ 変化つかみ好調もコロナ前にはおよばず
21年のコンビニ売上高は、全店ベースで1.1%増(10兆7千816億円)となったことが日本フランチャイズチェーン協会のまとめで明らかになった。ただ19年比では3.4%減と、コロナ前の水準には回復していない。既存店ベースでも0.6%増にとどまった。
客数は2.0%減と引き続き落ち込んだ一方、客単価は3.2%増と堅調を維持(いずれも全店ベース)した。コロナ禍を背景にまとめ買いや日常使い、巣ごもりなどの購買行動変化が続き、各社ともこれに対応した品ぞろえを強化したことで購買点数や単価がアップ。他方で外出自粛や他業態との競合激化が客足に影響した。