キーコーヒーが目指す「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」とは?  柴田裕社長をインタビュー

 キーコーヒーは今年、2030年までに目指す姿として新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化と喫茶店の応援、サステナブル活動に注力していく方針を固めた。

 取材に応じた柴田裕社長は「創業から100年間はコーヒーを“誰でも簡単においしく”飲める活動をしてきたが、これからも真剣にコーヒーと向き合いたいという想いからあえて“珈琲”と漢字にし“KISSA”には 日本の喫茶文化を外国人に向けた発信として、“お茶を喫する”という想いを込めた」と語る。

 喫茶文化と喫茶店の応援施策では、喫茶店に馴染みの薄い若年層をターゲットにしていく。

 「昭和生まれは喫茶店からコーヒーに親しみ、平成生まれは自宅で飲んでいたコーヒーからコーヒーに親しむ、そして令和生まれはネットなどタッチポイントに喫茶店に興味を持つ可能性がある。もちろん一括りにはできないが、世代によって喫茶店の捉え方は異なると考えている」。

柴田裕社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
柴田裕社長

 この考えの下、昨年は年間を通じて純喫茶をテーマにした活動を展開し、若年層との接点拡大を図るべく、純喫茶に関する情報やSNSの投稿を一元化した純喫茶情報サイト「純喫茶ジャーニー」を公開したほか、異業種とのアプローチとしてはアパレルブランド「THE SHOP TK」とのコラボやカプセルトイ「キーコーヒーの看板」を発売開始した。

 今後も「様々な形でタッチポイントを作り活動していく」と意欲をのぞかせる。

 サステナブル活動ではトラジャ事業を軸に国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)との取り組みを強化していく。

 トラジャ事業は、旗艦のコーヒーブランド「トアルコ トラジャ」の生産地であるインドネシア・スラウェシ島の秘境・トラジャの山岳地帯にある自社農園を拠点とした生産事業で、地域振興や雇用創出といった成果を生み出す一方、気候変動の影響への対策という課題が立ちはだかっている。

 「トラジャ事業を今後も強化していくとともに、各生産国や品種の多様性の確保にも力を入れていきたい」という。

「京都イノダコーヒ」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「京都イノダコーヒ」

 喫茶文化と喫茶店の応援の意味合いを込めて家庭用商品も強化していく。

 その先例に、昨年9月に新発売した「京都イノダコーヒ」が挙げられる。

 同商品は、キーコーヒーが京都市内を中心に喫茶店「イノダコーヒ」を運営するイノダコーヒと業務提携契約に向けた基本合意書を締結したことで開発されたものとなる。

 出足は好調で柴田社長は「『イノダコーヒ』は京都の生活者ほか全国から文化人や観光客からも愛されており、その魅力をお伝えすべく店頭でオリジナルムービーの配信や専用什器を使った販売を展開している。お客様にはコロナ禍で観光スポットに行けないということで手に取って楽しんでいただき、イノダコーヒ様からも感謝のお言葉を頂戴している」と述べる。

 同時期に発売開始した豆の新商品「珈琲専門店の香り」と「プレミアムステージ」初のエリア限定商品「プレミアムステージ 九州エリア限定ブレンド」も好調に推移している。

「リキッドコーヒー テトラプリズマ」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「リキッドコーヒー テトラプリズマ」

 既存品では「リキッドコーヒー テトラプリズマ」が好調。

 これには「いろいろと技術が進みコモディティ商品とは一線を画したおいしさで生活者から指名買いされ、高単価の紙パックリキッドコーヒー市場を牽引している。キーコーヒーのロゴも信頼感や安心感につながっているようだ」との見方を示す。

 事業全般については「新型コロナ第6波やコストアップで不透明感が漂う中、リアルとデジタルの両方を使いこなしていく人が増え、環境はめまぐるしく変化していく。コーヒーは豊かさを生み、どのような環境であっても生活の中に必要な存在であるという、その魅力にこそ商機がある」との見方を示す。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)